運動部活動指導員 長崎県立高11校で活躍 教員の負担軽減に奏功

投げ技の練習をサポートする麻生さん(右)=諫早農業高

 教員に代わり運動部の顧問を務めたり、大会に生徒を引率したりできる非常勤職員「運動部活動指導員」が、4月から県内の県立高11校に配置されている。教員の負担軽減が主な狙いで、県教委は本年度の成果や課題を踏まえ、事業を拡大していく方針だ。
 県教委によると、コーチをボランティアなどが担う「外部指導者」は公立中で1140人、全日制の公立高で約116人(2018年度)。部活動に打ち込む生徒たちを支える貴重な存在だが、活動中の事故などに対する責任の所在が不明確であることなどから、外部指導者だけでは各種大会への引率はできない。一方、運動部活動指導員は学校職員のため、部活動で教職員のみが担っていた業務を分担することができる。
 運動部活動指導員の活動時間の上限は年間210時間。労災保険や引率費用などを含め、1人当たり年間約39万円を県が支給する。配置されたのは小浜高、五島高、長崎北陽台高、諫早高、国見高、佐世保工業高、佐世保北高、北松農業高、口加高、松浦高、諫早東高。学校の非常勤講師や地域の整骨院スタッフ、メンタルトレーナーなどが活躍している。
 このうち諫早高に配属された麻生大和さん(23)は、保健体育の非常勤講師と兼務している。7日に閉幕した県高校総合体育大会までは柔道部を担当。部員が少なかったため近隣の高校への出稽古に生徒を引率し、投げ技のサポートなど練習相手も務めた。現在は顧問と連携しながら、テニス部とバレーボール部の練習をサポートしている。
 制度について「顧問が不在時も目が行き届き、教員の働き方改革につながる。教員を目指す若者にとっても勉強にもなる」と感想。野球部だった中学、高校時代の部活動を振り返ると「土日はいつも練習試合があり、顧問と監督が引率してくれた。今思うと、休み返上で大変だったと思う」と語った。
 五島高では整骨院の従業員が、部活動の時間帯に校内のトレーニング室で複数部活動の生徒のトレーニングを指導。その間、各部活動の担当教諭はほかの業務に当たれるという。
 県教委は年度内に学校を訪問し、制度に関する聞き取り調査を実施。運動部活動指導員の人材については、学校での勤務経験がある再任用者や退職者も視野に入れていくという。県内公立中での導入については国に申請中で、早ければ今夏にも事業化される見込み。

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