ハゼ研究、上皇さまと40年交流

中国人学者「再会望む」

© 一般社団法人共同通信社

上皇さまから上海海洋大の伍漢霖教授に届いた年賀状が入った封筒=中国上海、4月(共同)

 ハゼの分類を専門とする研究者としての顔も持つ上皇さまは、海外の学者とも親交を深めてこられた。1979年の〝出会い〟から40年にわたり文献や標本を交換するなどしてきた中国・上海海洋大の伍漢霖教授は「これまでのご指導に本当に感謝しています」と語り、再会の機会を待ち望んでいる。

 福建省の大学で中国のハゼの分類を担当していた際、海外文献の中に当時皇太子だった上皇さまの論文を見つけ、英語で手紙を書いた。「ハゼについて教えていただけませんか」

 数週間後、皇太子時代から陛下を支えた元侍従の目黒勝介氏が書いた返信が伍氏の元へ届いた。学術交流を行いたいとの上皇さまの意向が記されていた。「まさか返事が来るとは。恐縮しました」と振り返る。

 以降、往復書簡で資料や論文を交換。89年4月、天皇即位間もない異例の時期に赤坂御所に招かれ、初めて面会した。「ハゼの話をすると緊張が解けて距離が一気に縮まった」。上皇さまが発見したハゼの分類方法も伝授してもらった。

 天皇在位中の92年10月の上海訪問や、伍氏の日本出張時に面会を重ねた。上皇さまから日本のハゼの標本をもらったこともある。伍氏は2008年、研究成果を収めた専門書を出版した。前書きには、上皇さまの助言と指導に感謝すると記した。

 最後となった09年まで面会の回数は12回に上る。上皇さまが中国の大規模政治運動「文化大革命」(1966~76年)の質問をしたり、日本に留学していた伍氏の息子の生活を気遣ったりすることもあった。

 伍氏は上皇さまの誕生日に欠かさず手紙を送り、上皇さまからは「賀正 明仁」と筆で書かれた年賀状とともに、上皇さまや上皇后さま、天皇陛下らが写った写真が毎年届く。一家で演奏している様子などが写ったものだが、公表は禁じられているという。

上皇さまとの思い出を語る上海海洋大の伍漢霖教授=中国上海、4月(共同)

 記者が「触ってもいいですか」とたずねた上でおそるおそる年賀状や写真を手に取ろうとすると、取材に付き添っていた大学職員は「日本人記者はこれを見ると皆が感激して、緊張した様子になりますね」と笑った。

 上皇さまは現在も研究を続けられている。伍氏は「とにかく健康でいてもらいたい」と話し、再びハゼについて語り合える日が来るのを心待ちにしている。(上海共同=木梨孝亮)