小林市議会議長に就任した 坂下春則(さかした・はるのり)さん

 小林市野尻町の通学路を照らす287基の電灯が、議員としての原点だ。旧野尻町議1期目だった2005年、地元中学生の「通学路が暗い」という悩みを議会で取り上げ、設置に結び付けた。会社勤めや農業を経て、父を継ぐ形で議員となり16年目。「あの時の『おじちゃん、ありがとう』が今も力になっている」  住民の声を政治に届ける役割は国会議員や県議も同じだが、「最も細やかに拾い上げられるのは市町村議」と自負する。「国会や県議会に比べ扱う課題は小さいかもしれないが、目の前の1人に喜んでもらえる感激はこの仕事ならでは」。今も時間を惜しんで市内を回り、ざっくばらんに話す。  議長を担う同市議会は、4月の改選で初の無投票。「市民の目は今まで以上に厳しくなる」と各議員に自覚を促す。一方、19人中7人を占める新人には、無投票での当選をマイナスに考えすぎないようにも求める。「懸命に地域活動に取り組んできた人ばかり。自信を持って当局と向かい合って」  最重要課題に掲げる議会改革へ、目指すのはベテランも新人も関係なく意見し合える環境。各会派で開いてきた研修会を議会全体で開催することで、最新の知見や問題意識を共有することも考えている。「慣例や常識にとらわれていては、政治が市民からどんどん遠ざかる」と力を込めた。  自他共に認めるきちょうめんな性格で、初当選から始めた日記は欠かしたことがない。1歳になった初孫との時間が何よりの楽しみ。同市野尻町三ケ野山で妻(65)と暮らす。64歳。

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