「まち保育」で助け合い 神奈川区と横浜市大

「まち保育」の意義を話す三輪横浜市大准教授=横浜市神奈川区

◆地域と関係づくり 連続講座や伴走支援

 震災や豪雨などの大規模災害に備え、いざというときに助け合えるよう保育園、幼稚園といった保育・教育施設と地域の「顔の見える関係づくり」を目指す取り組みが、今月から横浜市神奈川区で始まった。同区は横浜市立大と協働で、区内の保育・教育施設を対象に専門のアドバイザーによる連続講座や、モデル園への伴走支援を実施。防災上の課題が多い同区内の施設の防災力向上を狙う。

 同区は、臨海部が津波浸水想定区域となっているほか、木造住宅の密集地が市内の他区に比べて多いという特徴があり、災害時の課題も多いという。保育・教育施設では防災への関心も高い。

 そこで、今月から2020年2月にかけて、ワークショップも盛り込んだ連続講座を実施。各施設の地域との関係づくりなど防災力向上に向けた取り組みを促す。またモデルケースとして2園を選び、防災力を上げるための伴走支援も行う。これらの活動は、DVDなどに編集し、共有する予定だ。

 区こども家庭支援課の岩松美樹課長は「たとえば散歩中に何かあったとき、保育園だけでの対応は難しい。地域と協力することは大切」と意義を話す。

 14日には、連続講座の初回が行われ、区内の50以上の施設から約60人が参加。同事業のアドバイザーでもある横浜市大の三輪律江准教授が「まち保育」を切り口に講演した。三輪准教授は、施設側が地域の資源を保育に活用し、地域社会と一緒にまちで子どもが育つ土壌づくりをする「まち保育」の意義を説明。その一環で地域の人を巻き込みながら「お散歩マップ」を作った事例を紹介した。

 マップには公的な避難場所のほか、近隣の企業、マンションなど避難させてもらえる場所などを記すことで防災にも役立てられるとして、「小さなことからできることをまちと一緒に考え、共有していければ」と呼び掛けた。

 参加していた幼稚園職員は「マップは作っていないが、防災のためにも今後は地域とのつながりが必要と職員同士で話している。今後、行動していこうと思う」と話していた。

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