国内2番目に古い酵母で純米吟醸酒 老舗蔵元が限定販売

 老舗蔵元として知られる松田町の中沢酒造が、昨年に続いて国内で2番目に古い酵母を使った純米吟醸酒を仕上げた。現在の製法では酵母がうまく働かないため、江戸時代の製法を参考に醸した酒で、3千本を限定販売している。

 純米吟醸酒「松みどり 純米吟醸 S.tokyo 2019」は、1909年に発見された清酒酵母から生まれた。

 国内で2番目に古い酵母で、現在のものとは違って低温ではあまり発酵せず、温度変化に弱いという特性があった。このため、10度程度の長期低温発酵が主流の現在の製法には不向きで、試行錯誤の結果、冷却設備を使わず、江戸期の酒造りのように比較的高めの14度程度に温度を維持して発酵させた。

 昨年の経験を生かし今年は、酒のもととなる酒母造りで急冷する回数を減らし、培養しやすくした。香り立ちがよく、甘みと酸味のバランスが絶妙で、アルコール度数が14、15度と少し低めに仕上がったという。

 本格販売となった今年は720ミリリットルで3千本を製造。価格は1本税込み2020円で、県西部や横浜、川崎などの酒販店で販売している。取扱店の問い合わせは、同酒造電話0465(82)0024。

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