「自分をHappyにするものの1つに…」DeNAが女性向けイベントを開催する狙い

DeNAが女性向けイベントを開催した【写真:白井京子】

5月31日から3日間、大盛況に終わった「YOKOHAMA GIRLS☆FESTIVAL 2019」

 5月31日から3日間、横浜スタジアムは普段にも増して明るさと華やかさに溢れていた。それというのも、女性ファン向けの恒例イベント「YOKOHAMA GIRLS☆FESTIVAL 2019 Supported by ありあけ 横濱ハーバー」が開催されたからだ。

 5年目を迎える今年は、イベントアンバサダーに楓さんと、SAYAKAさん(E-girls、Happiness)、川本璃さん(Happiness)が就任。3日間来場して女性ファンにスペシャルユニホームを手渡しするなど、大いにイベントを盛り上げた。また、2日目には大人気番組「チコちゃんに叱られる!」から筒香嘉智選手の大ファンでもあるチコちゃんがセレモニアルピッチに登場。3日目には試合後に手相占い芸人の島田秀平さんによる開運トークショーが行われた。

 女性ファンに定着しつつある人気イベントとあって、女性の来場比率は、昨年に続き今年も連日50%以上を記録。初日の5月31日には、5年目で初めて60%を超えた。「1年に一度開催している『YOKOHAMA STAR☆NIGHT』の姉妹イベントのような企画を実施できないかと始めたのがきっかけです。まだ肩を並べるまではいきませんが、楽しみにして下さるファンの方も増えてきました」と手応えを語るのは、「YOKOHAMA GIRLS☆FESTIVAL」プロジェクトメンバーで広報部の池田紗里さんだ。

 実は、このイベントのために7か月前からプロジェクトチームが結成されるという。普段は違う部署で働く社員が集結。「毎年来ても楽しんでいただけるように、前年を超える今までで一番いいイベントにしよう」とアイディアを出しあい、イベントの詳細を決めていく。これまではメンバーは全員女性だったが、今年は初めて男性が参加。「男性側の意見を取り入れることもできて、新鮮で良かったですね」と池田さんは言う。

 このイベントで大きな話題になるのが、女性来場者限定で着用いただくスペシャルユニホームだ。ベイスターズの「青」を基調としながら、女性らしさを加えてかわいくアレンジ。今年のデザインは、イベントテーマでもある「Make me Happy~昨日を越えて楽しめ自分~」のイメージを折り込んだ。数あるデザイン候補の中から最終的に5パターンを選び、サンプルを作って意見交換。今年は爽やかな波模様のデザインとなった。

「トレンドも意識しながら、どの年代の方でも着られるようなデザインにしました。波の模様は港町・横浜を、波が薄い色から濃い色に変わっているのは、自分を日々アップデートしながら明日の輝く笑顔へ向かう女性をイメージしています。普段の暮らしの楽しみの1つ、自分自身をHappyにするものの1つに野球観戦を加えてもらえたら、という想いもこめています」

「もっとたくさんの方に野球を愛してもらいたい」

 さらに、開催当日は横浜スタジアムに様々な“仕掛け”がされた。お気に入りの選手と記念撮影できるようスタジアム各所に6選手の特大パネルを設置。スマートフォンでパネルに記されたQRコードを読み取ると、写真撮影時の舞台裏の映像が見られる斬新さが人気で、中には30人以上が並ぶ場所もあった。その他、選手の缶バッチ付きの期間限定メニュー、選手の写真が貼られた特別パッケージのドリンクを販売。イベント用の写真撮影では「普段かっこいい選手のかわいいポーズを撮りたくて(笑)。選手も最初は『えぇ~っ』と言いつつ、最後は率先して協力してくれました」と池田さん。選手を含めたチーム全員の協力があってこそ、イベントは成り立っている。

 イベントを盛り上げるため、来場者の声を知るために、SNSも重要なツールとなっている。「SNSでの拡散もプロジェクトを考える上で大切なこと。お客さんの反応を見て、次に活かすようにしています。今年はアンバサダーの3名がそれぞれ感じたことを自分の言葉で、同世代の女性に発信してくださいました。」と、手応えを感じたようだ。

 女性をターゲットとしたイベントを開催するのは、「野球観戦の楽しさをもっとたくさんの女性に伝えたい」という想いがあるからだ。

「もっとたくさんの方に野球を好きになってもらいたい、という想いは、どの球団も持っていると思います。初めて球場に来た女性でも、スッと入りやすい空間やコンテンツを用意しておくこと。ルールを知らなくても、球場の開けた空間で、選手の登場曲や様々な場面で流れる音楽や試合の雰囲気を楽しんでもらうだけでもいいと思うんです。ハマスタでは“ヤスアキジャンプ”も体験できますし、応援の一体感を味わっていただけると思います。そして、また来たいと思っていただけたら、選手の応援歌を覚えていただくのもまた楽しいかもしれません。」

 イベントが開催された3日間には、4年前に乙坂智選手のファンになったという母娘、オリックスから加入した伊藤光選手を追いかけてDeNAベイスターズファンになったという女性3人組の他、応援し続けて40年という夫婦も来場。球団の変遷を見続けてきた熟練ファンの女性は「この賑やかで若い人が多いハマスタの光景が信じられないわ。スタジアムがパッと明るくなっていいわね」と大歓迎の様子だった。

 横浜の日常風景としてDeNAベイスターズと横浜スタジアムが溶け込むように、球団のチャレンジは続く。(白井京子 / Kyoko Shirai)

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