戦後生まれの少年チーム「レディアンツ青年会」誕生秘話

執筆した田代昌史さん(右)ら=ヨコハマともだち会事務室

 戦後の復興の中から生まれた少年野球チーム「レディアンツ青年会」の誕生秘話をつづった冊子「敗戦から立ち上がった少年たち」が出版された。野球との出合いを通して成長していく青春像が鮮やかに描かれている。

 敗戦でこれまでの価値観が崩れ、夢や目標を失った若者が街中にあふれていた1946年。横浜市港北区の妙蓮寺周辺でたむろしていた少年たちが集められ、野球チームが誕生した。

 監督は、新制神奈川工業高校野球部のキャプテンだった藤木幸夫さん(88)=藤木企業会長。当時は野球どころではなく、三度の食事も満足でない時代。藤木さんは毎週土曜日の晩、当時暮らしていた妙蓮寺近くの自宅に少年たちを集め、冷蔵庫を開放して食べ物を振る舞った。

 ユニホームをそろえ、ルールを教えながら基礎を鍛えたことで、少年たちは次第に野球に打ち込み始め、チームとして試合に出るようになった。

 そんないきさつを一冊に記したのが、テレビ神奈川元常務で横浜港振興協会参与の田代昌史さん(82)。5年ほど前にスコアブックなど当時の資料の一式が見つかったことから、73年間の歩みをまとめた。田代さんは「機関紙を発刊し、地域で奉仕活動をするなど人生の勉強会としての役割も果たした歴史も伝えたい」と話す。同チームは現在、「富士塚レディアンツ」として少年部と青年部、壮年部の3チームに分かれて、区民大会に出場するなど活発に活動している。

 A5判で104ページ。発行はヨコハマともだち会。1部800円(税込み)。購入希望者は連絡先と部数を明記し、同会にファクス045(211)2740。

© 株式会社神奈川新聞社