​​あのダーウィンも卒業した英国名門パブリックスクールがタイ・バンコクで人気、その理由を探る

「子育てにやさしい国」と言われるタイ。その首都バンコクで英国名門のシュルーズベリー校が名声を高めているとのこと。そこで頻繁に行われているオープンキャンパス(見学会)に参加して、その様子をうかがってきました。

英国名門のパブリックスクール「シュルーズベリー校」

タイの首都バンコクで、英国の名門パブリックスクールのシュルーズベリー校が校舎を増設し、現地のインターナショナルスクールとして名声を高めています。英国のパブリックスクールは、他に1998年にアジアではじめて開校されたハーロー・インターナショナルスクールバンコク校がありますが、シュルーズベリー校はそれに次いで2003年にタイで現地校を開校した学校。教育方針は、英語を中核とした文化と価値観を教えること。

現在、同校では学校見学会である「Open House」が頻繁に開催されていて、中国人や日本人をはじめとするアジア各国の保護者とその子どもたちで盛況です。到着してすぐ、イギリス式のお茶の時間があるなど、終始和やかな雰囲気。今回はその見学会の様子をすべてお伝えします。

シュルーズベリー校シティーキャンパスの「Open House」ではイギリス式のお茶の時間がある

富裕層子女が多いチャオプラヤー川沿いに建設

シュルーズベリー校は2018年、バンコク都心地で日本人も多く住むRama9エリアにシティーキャンパスを新設しました。現在3歳から11歳の生徒を受け入れを募集中です。

英シュルーズベリー本校の歴史的な卒業生にはチャールズ・ダーウィンらがいます。バンコク校は、チャオプラヤー川沿いにキャンパスが創設されました。川沿いに学校が建設されたのは、英国のシュルーズベリー本校が1552年に発祥したのがイングランド・セバーン川沿いだったことにちなんでいるとのこと。そこにはバンコクの富裕層子女、外国駐在員子女の入学希望者が多く、3年ほど前までは待機児童も多く抱えていました。シティーキャンパスの新設はこういったニーズに応えた形です。

新設されたシュルーズベリー校シティーキャンパス

同校ではとくに音楽や演劇などの教育に力を入れており、音楽特待生のなかには日本人生徒もいるそうです。650人収容の校内ホールでは頻繁に発表会が開かれているようです。音楽教育は2年目から開講しており、ピアノやバイオリン、ギター、サックスなど、あらゆる楽器が選択可能。グループ授業だけでなく、一対一の指導もあります。見学会では豊富なレッスンルームが公開されました。また、演劇の専門指導のほか、器械体操やスイミング、バドミントン、バスケットボール、などさまざまなスポーツ教育にも力を入れているようです。

シュルーズベリー校シティーキャンパスの校内ホール

運動設備も充実しており、夏季の気温が上がりやすいバンコクの気候に対応して、体育館の2階のバルコニー部分にランニング用のトラックを完備。涼しい館内で長距離走をして体を鍛えることができます。

校内でボルダリングもできる

勉強面は厳しく、英語はリーディングを非常に重視しており、数学は能力別編成となっています。見学会では、科学の授業が行われていましたが、ピロティ風の開放感あふれる校舎の片隅に、教師も生徒も車座に座り、植物の成長と成育環境について闊達に議論を交わしながら授業をしている姿が見られました。どの生徒も自発的に自分の意見を言い、それを対等に受け止め次の生徒に話題を振っている姿がありました。

植物の育て方が書かれている
花屋に模した植物の棚。子どもが楽しく学べるように

また校舎内は、いたるところに遊び場やインディアン風のちいさなテントが設置されています。見学会当日、砂場の中には恐竜の人形が置かれ、おそらく生徒が遊んだままその場に置いていったのだろうモノがありました。休み時間になった生徒が、その恐竜の人形でさっきの遊びの続きから友だちと遊んでいたのが印象的でした。

インディアン風のちいさなテントを設置
砂場の中には恐竜の人形がそのまま置かれている

食育、フードサイエンスも熱心に指導

シュールズベリー校は食育、そして食べ物を通じたサイエンスにも力を入れているようです。

校舎入り口入ってすぐのところに、小学校低学年の子どもたちが使用できるほどの高さの本物のキッチンが備え付けてられています。またそのキッチンとは別に調理実習室も複数そなえられています。

小学校低学年の子どもでも使える高さの本物のキッチン
調理実習室

ランチタイムは給食で、ビュッフェスタイルを採用。教員からは、

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「食卓がレインボー(虹色)になるように盛り付けてくださいと子どもたちに指導しています。色の取り合わせを考えて料理を選択すれば、おのずとバランスのとれた食事になるからです。テーブルマナーも指導しているので、職員もこのビュッフェで子どもたちと一緒に食卓を囲みます」

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と説明がありました。

ビュッフェスタイルの給食食堂にはアイスも

学校見学が行われたこの日は、

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「今日は英国式の食事メインの日です。もちろんタイ料理もあります。今日は金曜日なので特別にアイスクリームのディスペンサーも置いています。学校でアイスなんて、少々クレイジーに受け取れるかもしれませんが、週に一回です。アイスクリームが大好きな英国人のわれらに免じてお許しください」

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と、ジョーク交じりに説明があるなど、日々の食卓での和やかな雰囲気をうかがわせます。

食事の際には職員も一緒に食卓を囲む
子どもはビュッフェスタイルのメニューから食卓が虹色になるように盛り付ける

シュールズベリー校が人気な理由

シュールズベリー校は全校生徒、約1600人、40以上の国籍から構成され、さまざまな専門分野の教師による授業を揃えています。教師陣は90%がイギリス人。本校と同じ教育体制を整えているのが特徴である。また、言語教育プログラムは、第三言語としてフランス語、スペイン語、中国語、日本語、タイ語を用意しています。

保護者にとっては、チャオプラヤ川沿いという環境も魅力的です。BTSサパーンタクシン駅からのシャトルボートも使えるため、通学や送り迎えが便利だからです。

同校は学習面、生活指導面はともに量も質も高く、密度の濃いインター生活を送れる印象でした。

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