定例のミーティングにて……
編集部しみけん
そういや、佐藤ちゃんってリールのオーバーホールできるよな?
リールマニア佐藤
できますけど……記事でも書いたとおり、全バラはメーカーに任せた方がいいですよ
編集部しみけん
古いリールやからメーカーのアフター対応が終わってるんよ
リールマニア佐藤
トーナメント・エアリティじゃないですか!
編集部しみけん
おっ!さすがリールマニアやな。気に入ってまだ現役で使ってるんよ
リールマニア佐藤
そりゃリールマニアですから。でも、ちょっとゴロゴロ感がありますね
編集部しみけん
せやねん。ライトゲームとかトラウトで使うから気になるねん
リールマニア佐藤
ってことは、オーバーホールの模様を記事化するんですね?
編集部しみけん
ゴロゴロ感がなくなったら記事化してもええよ。直らんかったら「リールマニア」の肩書は没収なんで
リールマニア佐藤
えっ?
編集部しみけん
週末に釣り行くから、それまでによろしく!!
そんな強引なやりとりの末、オフィスにあったエアリティを押し付けられてリールマニアは帰路に就いたのであった。
早速、開けていくぅ
今回分解するのはダイワ トーナメント・エアリティ2506。2002年に発売された15年以上も前のリールですが、今だに根強い人気があるのです。
金属ボディで巻きの質感もかなり高く、この年代特有の“巻きトルク”の少なさがコアなアングラーから支持を集めています。
発売時はエギングの発展期だったこともあり、セールス面でも大ヒットを記録。名作リールだ。
スプールとハンドルを取った姿がこちら。今となっては当たり前に搭載されているデジギアも、当時は最先端技術。誇らしくローターに刻印されています。
なによりもボディの形が時代を感じさせ、ノスタルジックな雰囲気。
ローターを外して……。
最近はマグシールドカバーで覆われている部分もこの通り。メインシャフトのベアリング直下にはワンウェイクラッチが鎮座しています。
3点留めされているネジを開けると、一気にパーツ数が増えてきます。一番左がピニオンギア、右から三番目がワンウェイクラッチ。
ハンドルが逆転する不具合は、このワンウェイクラッチが悪さをしているのです。
ピニオンギアなどを抜いた図。サビ防止のためにしっかりと白い塗料が塗られています。奥の暗いゾーンが本丸、ギアボックスです……。
まさかの真っ黒!?
ついにギアボックスに到達! しかしなんだか様子がおかしい。
うわぁ〜〜〜なんじゃこりゃ〜〜〜!! パーツクリーナーで洗浄すると真っ黒な汚れがびっしり。
ギアボックス内にも劣化したグリスが……。残さず拭き取ります。
リールの心臓部であるドライブギア。通称「黒ギア」と呼ばれる黒いギアは、この年代のリールを最後に搭載されなくなりました。
しかし、素材の柔らかさによる、黒ギア特有の滑らかな巻き心地を愛するアングラーは今も多いのです。
これがリールを分解した全体図。ラインローラーとハンドル以外は全バラ状態です。全パーツの洗浄を終えて、組み上げていきます。
元通り、整然と組み付けていきます。
長さの異なるビスには注意! めちゃくちゃ似ていますが、どれがどこに刺さっていたか覚えていないと動作不良を起こすので厄介です。
最後にローターのナットを締める作業。ここを締めて、動作確認をする時が一番緊張します。
組み上がった図。汚れたキッチンペーパーが戦いの激しさを物語ります。
ちなみに、パーツを洗浄した後の液はこんなに真っ黒に!
果たして記事化されるのか!?(されてるけど)
リールマニア佐藤
どうでしょう?
編集部しみけん
む!むむむむむ!!
リールマニア佐藤
!?
編集部しみけん
やるやん。ゴロゴロ感がないわ。しかもかなり初動が軽くなってるな
リールマニア佐藤
でしょ?
編集部しみけん
ただ分解するだけでこんなに変わるねんな~
リールマニア佐藤
いやいや。ただ分解洗浄しただけじゃなくて、何度も微調整しながら組付けたんですよ
編集部しみけん
なるほど。その辺が「メーカーに任せて」っていつも言ってる理由ね
リールマニア佐藤
そうですね。ビスの締め具合によっても巻き心地が変わるんで。だから個人でOHをやっても改悪になることが大半なんです
編集部しみけん
佐藤ちゃんってホンマにリールマニアやってんな~。疑ってたわ(笑)
リールマニア佐藤
これからもリールマニアを名乗っていいかな?
編集部しみけん
いいとも!
筆者の紹介
佐藤稜真
某リールチューンメーカー在籍時、全国のイベントで年間100台以上のリールをメンテナンスしていた経験を持つ。
中学生の頃からカタログのスペックを暗記するほどのリール好き。関東のフィールドでのエリアトラウト・シーバスフィッシングをメインにしている。