核被害の実態学ぶ 講演会に市民ら100人

 核兵器をテーマにした講演会が20日、川崎市平和館(同市中原区)で開かれた。市民ら約100人が参加し、世界の核廃絶に向けた取り組みや、核被害の実態などを学んだ。川崎市民平和のつどい実行委員会の主催。

 講演したのは、「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」共同代表の森滝春子さん(76)。広島市出身で、原爆投下直前に疎開していたため被爆を免れた。

 森滝さんは講演で、大量の放射性廃棄物が投棄された影響で周辺が汚染されたインドのウラン鉱山の実態を報告。農地を奪われ、鉱山で働く労働者や住民らは白血病などを患い、障害を持って生まれてくる子どもたちも多いという。森滝さんは「ウラン鉱山は世界中の至る所にある。核はどの過程でも甚大な被害をもたらす」と訴えた。

 一方、非政府組織(NGO)だけでなく核兵器禁止を訴える国が増えてきたことや、先月広島で開かれた「世界核被害者フォーラム」に約10カ国から千人以上が参加したことなど、核廃絶に向けた近年の動きも紹介。「地球市民みんなが被爆者といっても大げさではない」とし、「核問題は根が深く、核兵器廃絶だけでは解決できない。そうした思いを持った被害者のネットワークが築けてきている」と話した。

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