「テレビ朝日新人シナリオ大賞」、宮原久実さんの「狂いゆく美」に決定!

「第19回テレビ朝日新人シナリオ大賞」の授賞式が行われれ、大賞を宮原久実さんの「狂いゆく美」、優秀賞を栄弥生さんの「腸弱男の恋」、山崎陽平さんの「両手で、そっと」がそれぞれ受賞した。

同賞は2007年に創設されて以来、数多くのシナリオライターを排出してきたシナリオコンテストで、今回より募集時にテーマを設定、今回のテーマは「初恋」「最後の恋」「初恋&最後の恋」となっていた。昨年11月22日に締め切られた際には1236篇の応募があり、第3次選考までに9篇に絞り込まれた。その後、選考委員である脚本家の井上由美子氏、岡田惠和氏、両沢和幸氏の3氏により最終選考が行われ、3篇の受賞作品が決定した。

大賞受賞を受け宮原さんは「審査員の先生方の作品が大好きで、再放送のたびに何度も見ていました。そんな先生方やテレビ朝日の方に選んでいただいてうれしいです。今まで書いてきて報われたことがなく、苦しい日々で、脚本を書くのをやめようとも思っていました。そんな中でこの賞をいただけました。報われないかもしれませんが今後もたくさん勉強してたくさん書いていきたいです」と喜びの言葉を述べた。

今回の選考について井上氏は「今年の選考について言いますと、例年より接戦で何度か投票を繰り返しました。私は個人的には山崎さんの作品が一番好きでした。しかし、何度投票を繰り返したとしても、宮原さんの作品だけは残したいということになり、大賞となりました。報われないかもしれないとおっしゃっていましたが、100回に2回くらいは報われて、時々いいことがあるので勇気を持って頑張ってください」とエールを送った。

岡田氏は「このコンクールは脚本家が選ぶことに意味があり、自分も同じものを書いているものとして人のものを審査するというのは、自分の発言がブーメランになることもあり身を切られる思いになるところがあります。宮原さんの作品はコンクールにこないタイプの作品で、谷崎潤一郎のような、かつての大映映画のような作品です。それをちゃんと、宮原さんが信じて愛して書いているようで面白かったです」と第一線で活躍する脚本家ならではの視点で作品を解説した。

両沢氏は「応募される作品というのは、募集の前年ぐらいになんとなく話題となったドラマに影響を受けているものが多いのですが、宮原さんの作品は耽美的な作品で、テレビというか映画のような作品だと思いました。今このドラマが受けるんじゃないかというものではなく、こういうものが書きたいという思いが込められていました。他の作品にない世界観や美学が感じられたのが大賞の決め手でした」と作品の世界観を絶賛した。

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