進化する防水
こんにちは、リールマニアの佐藤稜真です。
「リールの最大の敵は?」と、問われたら何を想像しますか? 筆者はずばり、“海水”だと思います。
少しずつギアやボディを蝕んでいき、気づいた時には錆だらけ……なんてことも。そんな事態を防ぐべく、メーカーが必死に研究しているのが防水機構です。
そして、そんな防水機構の最高峰とも言える技術がシマノにはあるのです。
その名は、Xプロテクト
それまでシマノにはコアプロテクトという技術があり、それを格段にブラッシュアップさせたのがXプロテクトです。
そんなXプロテクトを、中小型のスピニングリールで初めて搭載したのがツインパワーXD。この時公開された、水にドブ漬けするプロモーション動画が話題になりました。
以前は、濡れている風の静止画や水をチョロッと掛けたものが多かったのですが、思いっきり水没させるあたりにシマノの自信がうかがえました。
このXプロテクトを、中・小型リールと大型リール(オフショア系)に分けて解説します。
中・小型リール用のXプロテクト
コアプロテクトとの最大の違いは「ラビリンス構造」という新しい構造が採用されたことです。
文字通りに迷路のような構造で水の侵入を防げるため、回転性能を低下させるパッキンのようなパーツが使われていません。
分解して気づいたことですが、従来よりもパーツ点数が削減されているようで、ここでも回転抵抗の軽減が図られているかもしれません。(これは完全に個人的な予想です)
このXプロテクトは、高い防水性を実現しつつも回転性能を一切犠牲にしないため、中・小型用リールとしては理想的な防水機構になっているのです。
大型リール用のXプロテクト
中・小型リールと大きく異なるのは、回転性能よりも防水性を重視していることです。
なぜなら、大型のリールは駆動力が有り余っているので、それよりもオフショアという過酷な環境でも浸水しないことが優先されるのです。
特殊なグリスとシーリングを用いた接触式の防水機構ではあるものの、ボディ部分はIPX8相当の防水性能を実現。
19ステラSWでは、ラインローラー部にもXプロテクト構造とシーリングが設けられており、もう水が浸入するところが見当たりません……。(完全防水ではありません)
全モデルがXプロテクト化されるかも!?
リールマニアの筆者に言わせれば、これは現時点で最高の防水機能。
19ストラディックにも搭載されたことから、スピニングリール全体に普及するのは時間の問題かもしれません。
筆者の紹介
佐藤稜真
某リールチューンメーカー在籍時、全国のイベントで年間100台以上のリールをメンテナンスしていた経験を持つ。
中学生の頃からカタログのスペックを暗記するほどのリール好き。関東のフィールドでのエリアトラウト・シーバスフィッシングをメインにしている。