国際交流の場づくりに奮闘 外国人バーの夜に浸る

国際交流の場になっている外国人バー「Lampoon Tap」=佐世保市栄町

 佐世保市中心街の夜といえば、外国人バー。週末になると陽気な外国人でにぎわう。近年、「外国人バー街通り」から離れた場所にも増え、国際交流の場づくりに奮闘しているという。老舗の経営者も世代交代していると聞いた。“変化”する外国人バーにはどんな客がやって来て、どんな人が働いているのだろう-。夜の魅力に浸ってみた。
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 午後8時半ごろ、佐世保市栄町の外国人バー「Lampoon Tap(ランプーン タップ)」から楽しそうな歌声が聞こえてきた。中に入ると、カウンターにはサイン入りの米ドル紙幣がピンで大量に貼り付けてあった。英語が飛び交う店内。カラオケで熱唱していた米海軍佐世保基地で働くマシュー・ベントリーさん(25)は「佐世保は居心地がよく、大好きだ」とビールを飲み干した。
 佐世保観光コンベンション協会などによると、湊町にある細い路地に密集しているところが「外国人バー街通り」と呼ばれる。この付近にも十数軒ある。最近は老舗の経営者がベテランから30代~40代に代わっているという。
 「ランプーン タップ」はオーナーの久冨直樹さん(37)が2016年にオープン。通りから少し離れているが、店のにぎわいは目を引く。久冨さんは「気軽に外国人と交流できる経験を提供したい」と奮闘。周辺の約10軒も手掛ける。
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 客の入りが落ち着いてきた午後10時ごろ。スタッフの金ケ江久美子さん(31)に働き始めた理由を尋ねた。佐賀県伊万里市出身。「英語は一生話さないと思って勉強しなかった」。だが10年ごろから久冨さんの店に客として通うように。その後働き始めた。「英語を話せるようになり、視野が広がった。この店を日本と海外をつなぐ国際交流の場にしたい」
 「留学したい」「英語が話せるようになりたい」…。店で出会った店員や客に聞いてみると、それぞれ夢や目標を持っていた。
 午前0時を過ぎると、基地に勤めている軍人は帰宅し始め、人通りは少なくなった。最後に日本人男性8人が現れ、午前2時まで盛り上がった。
 「『怖い』イメージがあるのか、躊躇(ちゅうちょ)する日本人も少なくない。どうやって日本人客を増やすかが課題です」と金ケ江さん。バーは、国際交流や人と人との触れ合いの場をつくる挑戦をしている-。そう考えると、佐世保のまちの魅力に一歩近づいた気がした。

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