榎戸が雨の筑波を制しJ-GP2クラス初優勝。J-GP3は波乱の展開に/全日本ロード第4戦レース1

 6月22日、全日本ロードレース選手権第4戦のJ-GP3クラス、J-GP2クラス、ST600クラスの決勝レース1が筑波サーキットで行われた。J-GP3クラスは福嶋佑斗(Team Plusone+f)が、J-GP2クラスは榎戸育寛(SDG Mistresa RT HARC-PRO)が、レース1は長尾健吾(NCXXRACING&善光会 TEAMけんけん)が優勝した。

 全日本ロードの筑波ラウンドは、J-GP2クラス、J-GP3クラス、ST600クラスの3クラスがそれぞれ2レース制で開催。午前中の予選の後、午後から決勝レース1が行われた。

■豪雨で波乱の展開となったJ-GP3クラス

 予選でポールポジションを獲得したのは長谷川聖(CLUBY’s)、2番グリッドは鈴木大空翔(BATTLE FACTORY)、3番グリッドは村瀬健琉(ミクニ テリー&カリー)というフロントロウとなった。

 予選はドライコンディションで行われたJ-GP3クラスだったが、午後からサーキットに雨粒が落ち始める。27台20周で争われる決勝レース1のスタート直前になると雨脚は強まり、路面は完全なウエットコンディションに。レースは12時45分の定刻通りスタートを迎えた。

 ホールショットを奪ったのは鈴木、ポールスタートの長谷川は2番手で1コーナーを抜けていった。

 S字コーナー入口では大堀が長谷川のインを突いて3番手を奪うも、第1ヘアピンで大回りとなり、4番手に後退。3番手には長谷川の後方につけていた村瀬が続く。

 最終コーナーに入ると村瀬が長谷川をアウトからパスして2番手に浮上。トップを走る鈴木はオープニングラップを終えると2番手村瀬との差を2秒以上に広げた。

 2周目に入るとS字コーナーで木内尚汰(S-Speed)が転倒。マシンがコース上に残ったため赤旗中断となる。

 約7分の中断の後にレースはクイックリスタート方式で再開。スターティンググリッドは予選と同じ並びで5周減算の13周となった。

 リスタートでも鈴木がスタートを決めてホールショット。2番手に長谷川、3番手に村瀬と続いていく。最終コーナーに入ると村瀬が長谷川をパス、そのままホームストレートを抜けると鈴木を1コーナーで捕えてトップを奪う。

 鈴木をかわした村瀬は、ペースをあげ2番手を引き離しにかかるが、3周目の1コーナー立ち上がりでマシンが大きく振られ、コースオフ。転倒は免れ、再びコースへと復帰するが、5番手に順位を落とす。これによりトップは鈴木、2番手福島、3番手長谷川、という並びとなる。

 コースオフした村瀬は4周目に大堀和基(CLUB HARC-PRO.)をかわして4番手浮上。5周目に入ると鈴木、福島、長谷川、村瀬、大堀の5台がグループを形成していく。

 6周目には1コーナーで村瀬が福島をかわして2番手に浮上。ここで雨脚はさらに強まり、激しい水しぶきを巻き上げる状況に。トップグループが最終コーナー立ち上がると5番手を走行していた大堀がハイサイド転倒を喫して離脱する。

 8周目には長谷川がペースを落として5番手に後退。変わって後方から追い上げてきた特別参加枠で出場の濱田が4番手に上がる。

 9周を終えるとトップは鈴木と福島の2台に。11周目には2番手の福島がアジアコーナーで鈴木を捕えてトップを奪取する。

 残り2周になると福島がペースアップ。鈴木もぴたりとつけて福島を追うが届かず。福島が逃げ切って全日本初優勝、鈴木が2位、濱田が3位でチェッカーを受けた。

 J-GP3クラスの決勝レース1結果は以下の通り。

■全日本ロードレース第4戦筑波:J-GP3決勝レース1結果(20周/編集部集計)

天候:雨 路面:ウエット

Pos. No. Rider Team Motorcycle Type TotalTime/Delay

1 88 福嶋佑斗 Team Plusone+f ホンダNSF250R BS 15’02 814

2 11 鈴木大空翔 BATTLE FACTORY ホンダNSF250R DL 0.086

3 55 濱田寛太 ライダーズサロン横浜 ホンダNSF250R DL 1.108

4 392 村瀬健琉 ミクニ テリー&カリー ホンダNSF250R DL 3.577

5 36 長谷川聖 CLUBY’s ホンダNSF250R BS 4.937

6 13 岡崎静夏 Kohara Racing Team ホンダNSF250R DL 7.940

7 14 中山愛理 TEAM SHOTA ホンダNSF250R BS 7.940

8 29 S.アギアス MIE Racing ホンダNSF250R DL 7.940

9 5 藤井謙汰 Kohara Racing Team ホンダNSF250R DL 9.840

10 17 太田虎之進 WJ-FACTORY ホンダNSF250R BS 14.789

11 20 高杉奈緒子 41PLANNING KTM・RC250R DL 17.659

12 9 山本恭裕 チームライフ・ドリーム北九州 ホンダNSF250R DL 29.012

13 18 安村武志 犬の乳酸菌jp/ プリミティブRT PRCS・PRCS3d DL 29.012

14 52 藤田哲弥 TEAM MASSA-R ホンダNSF250R DL 31.019

15 21 村田憲彦 CLUBY’s ホンダNSF250R BS 36.507

16 31 西田信義 WJ-FACTORY ホンダNSF250R BS 39.387

17 16 白石玲菜 Dreamline Plusone ホンダNSF250R BS 40.224

18 71 成田彬人 Team P.MU 7C MIKUNI ホンダNSF250R DL 41.432

19 61 柳沢祐一 ENDLESS TEAM SHANTI ホンダNSF250R DL 41.549

20 32 三好菜摘 RG NIWA with オーテック・スズカ ホンダNSF250R BS 42.013

21 15 野澤秀典 ノザワレーシングファミリー ホンダNSF250R BS 43.900

22 54 江澤伸哉 team hiro’ck and HARC ホンダNSF250R DL 1’03.972

23 34 細谷翼 Team SRS-Moto ホンダNSF250R DL 2 Laps(リタイア)

– 64 大堀和基 CLUB HARC-PRO. ホンダNSF250R BS 7 Laps(リタイア)

– 50 山田尚輝 team hiro’ck&HARC ホンダNSF250R DL 11 Laps(リタイア)

– 41 宇井陽一 41PLANNING KTM・RC250R DL 11 Laps(リタイア)

– 53 木内尚汰 S-Speed ホンダNSF250R DL スタート出来ず

■雨のレース1制した榎戸育寛がJ-GP2初優勝

 予選でポールポジションを獲得したのは名越哲平(MuSASHi RT HARC-PRO.)、2番グリッドは岩﨑哲朗(OGURA CLUTH with RIDE IN)、3番グリッドは榎戸というフロントロウとなった。

 J-GP3クラスの赤旗中断によるリスタートにより約30分遅れでスタートしたJ-GP2クラス。決勝レース1は20周、11台によって争われた。

 迎えたスタートでホールショットを決めたのは3番グリットからスタートした榎戸。ポールスタートの名越は2番手に後退し、3番手には5番グリットスタートの作本輝介(Team 髙武 RSC)が続く。

 2周目に入ると榎戸は、2番手の名越以下を引き離しにかかる。しかし、名越も離されまいとペースを上げる。4周目にはコンマ5秒差まで縮めた。

 名越のペースアップに反応したのか、榎戸がペースアップ、縮まっていた名越との差を広げ始めた。

 6周目に入ると3番手争いが激化。作本を先頭に岩崎、阿部恵斗(webikeチームノリックヤマハ)、小谷咲斗(TEAM PLUSONE with TARO)の4台が並ぶ。

 8周目に岩崎が1コーナーのエンドで作本をかわして3番手浮上。その後、作本は阿部にも交わされて4番手に後退する。

 レースは折り返し地点を終え、トップの榎戸と2番手の名越の差は3秒以上に広げて単独走行に入っていく。

 13周目に入ると再び3番手争いが動く。1コーナーで阿部が岩崎をインからかわして3番手に浮上。15周目には1コーナーで阿部、岩崎、作本のスリーワイドとなり、これを作本が制して3番手を奪う。岩崎は4番手、阿部は5番手に下がった。

 16周目に入ると阿部のペースが落ち始め、3番手争いは作本と岩崎の2台となる。

 トップ独走の榎戸はファイナルラップに入るとそのままチェッカー。J-GP2クラス初優勝を挙げた。名越は9秒748差の2位でレースを終えた。

 3番手争いは最終ラップに入っても白熱。最後は作本がポジションを守り切り3位表彰台を獲得。岩崎は最終コーナーで作本に仕掛けようとするもバックマーカーに引っかかり、4位でチェッカーを受けた。

 J-GP2クラスの決勝レース1結果は以下の通り。

■全日本ロードレース第4戦筑波:J-GP2決勝レース1結果(20周/編集部集計)

天候:雨 路面:ウエット

Pos. No. Rider Team Motorcycle Type TotalTime/Delay

1 71 榎戸育寛 SDG Mistresa RT HARC-PRO ハルク-プロHP6-q BS 21’06.016

2 634 名越哲平 MuSASHi RT HARC-PRO. ハルク-プロHP6-q BS 9.748

3 4 作本輝介 Team 髙武 RSC モリワキMD600 BS 15.110

4 70 岩﨑哲朗 OGURA CLUTH with RIDE IN カワサキZX-6R PI 15.416

5 14 阿部恵斗 webikeチームノリックヤマハ ヤマハYN6 BS 18.833

6 22 小谷咲斗 TEAM PLUSONE with TARO ホンダHP6-q BS 18.950

7 392 尾野弘樹 ミクニ テリー&カリー スズキGSX-R600 DL 31.946

8 36 徳留真紀 マルマエMTR ホンダHP6 BS 38.210

9 18 豊島怜 SpeedHeart DOGFIGHTR YAMAHA ヤマハYZF-R6 DL 56.789

10 19 井手翔太 HiTMAN RC甲子園ヤマハ ヤマハYZF-R6 DL 1 Lap

11 79 朝比奈正 アサヒナレーシング ASAHINA・Z600 – 2 Laps

■ST600は長尾健吾が今季初優勝

 ST600クラスの予選では國峰啄磨(日本郵便 HondaDream TP)がポールポジションを獲得。長尾健吾(NCXXRACING&善光会 TEAMけんけん)が2番グリッド、岡本裕生(51ガレージニトロレーシング)が3番グリッドというフロントロウとなった。

 ST600クラスの決勝レース1は約40分遅れの15時09分にスタート。路面コンディションはウエットだが、J-GP2クラスの決勝レース1終わりまで振り続けた雨はスタート前にはほぼ止んでいた。

 迎えたスタート。2番グリッドスタートの長尾がホールショットを奪うが、イン側のラインをとった3番グリッドスタートの岡本がトップを奪う。長尾は2番手となり、ポールスタートの国峰は3番手に後退する。

 岡本はオープニングラップから2番手の長尾に1秒近いリードを築き、独走態勢を築こうとするが、長尾も離されまいとペースを上げる。

 5周目に入るとトップグループは岡本と長尾の2台に。路面が徐々に乾いていくなか、11周目に入ると長尾が岡本のスリップを使って並び1コーナーの進入でトップを奪取する。12周目には後方から迫ってきた奥田教介(Team MF & Kawasaki)が岡本を捕らえて2番手浮上。これで岡本は3番手に後退した。

 3番手に後退した岡本はペースが上がらず、後方から迫ってきた小山知良(日本郵便 HondaDream TP)に追いつかれてしまう。18周目に入ると1コーナーで小山が岡本に仕掛け、S字コーナーの入り口で3番手を奪う。岡本も負けずとヘアピンで小山をかわしポジションを守った。

ST600クラスは長尾健吾(NCXXRACING&善光会 TEAMけんけん)が今季初優勝を挙げた。

 長尾はファイナルラップに入るとそのままチェッカーを受けて今シーズン初優勝。奥田は長尾との差を徐々に縮めていたが届かず、1秒859差の2位でレース1を終えた。

 3番手争いはファイナルラップに入っても続き、最後は第1ヘアピンで小山が岡本をかわして勝負あり。小山は3位表彰台を獲得し、岡本は4位でフィニッシュした。

 ポールスタートの國峰は15位でレースを終えている。

 ST600クラスの決勝レース1結果は以下の通り。

■全日本ロードレース第4戦筑波:ST600決勝レース1結果(20周/編集部集計)

天候:曇り 路面:ウエット

Pos. No. Rider Team Motorcycle Type TotalTime/Delay

1 50 長尾健吾 NCXXRACING&善光会 TEAMけんけん ヤマハYZF-R6 BS 21’06.091

2 57 奥田教介 Team MF & Kawasaki カワサキZX-6R BS 1.859

3 230 小山知良 日本郵便 HondaDream TP ホンダCBR600RR BS 4.253

4 1 岡本裕生 51ガレージニトロレーシング ヤマハYZF-R6 BS 4.921

5 6 南本宗一郎 AKENO SPEED・YAMAHA ヤマハYZF-R6 BS 8.486

6 69 中村竜也 RS-ITOH&AUTOBOY カワサキZX-6R BS 16.555

7 97 佐野優人 BATTLE FACTORY ホンダCBR600RR BS 17.030

8 64 伊達悠太 BATTLE FACTORY & KIMA Racing ホンダCBR600RR BS 22.871

9 420 亀井駿 日本郵便 HondaDream TP ホンダCBR600RR BS 23.061

10 13 杉山優輝 MOTO BUM HONDA ホンダCBR600RR BS 23.242

11 12 古山颯太 伊藤レーシングBORG カスタム ヤマハYZF-R6 BS 24.897

12 54 荒川晃大 MOTO BUM HONDA ホンダCBR600RR BS 25.323

13 98 佐野勝人 チーム阪神ライディングスクール カワサキZX-6R BS 28.930

14 39 和田留佳 will-raise racingRS-ITOH カワサキZX-6R BS 29.008

15 55 國峰啄磨 日本郵便 HondaDream TP ホンダCBR600RR BS 29.487

16 40 菅原陸 保険職人GBSレーシングYAMAHA ヤマハYZF-R6 BS 29.610

17 48 横山尚太 ガレージL8 Racing Team ヤマハYZF-R6 BS 30.179

18 51 関野海斗 51ガレージニトロレーシング ヤマハYZF-R6 BS 30.950

19 41 田所隼 Honda Suzuka Racing Team ホンダCBR600RR BS 32.368

20 45 長尾健史 TEAMけんけん with BEE ヤマハYZF-R6 BS 34.430

21 22 中山耀介 TEAM SHOTA ヤマハYZF-R6 BS 41.334

22 090 斉藤魁 au・テルル MotoUP RT ホンダCBR600RR BS 41.451

23 53 家根谷大晟 Team MF & Kawasaki カワサキZX-6R BS 44.872

24 47 鈴木光来 ENDLESS TEAM SHANTI ホンダCBR600RR BS 46.096

25 46 中島元気 Honda浜友会浜松エスカルゴ ホンダCBR600RR BS 46.771

26 28 松川泰宏 MOTO BUM+SAI ホンダCBR600RR BS 51.330

27 88 名越公助 TEAM PLUSONE with TARO ヤマハYZF-R6 BS 51.762

28 340 岡村光矩 KRP三陽工業&RS-ITOH カワサキZX-6R BS 53.401

– 14 行村和樹 Kohara Racing Team ホンダCBR600RR BS 12Laps(リタイア)

– 71 上原大輝 SDG Mistresa RT HARC-PRO. ホンダCBR600RR BS 19Laps(リタイア)

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