【愛川・受刑予定者逃走】「まさか横須賀とは…」住民困惑 急展開、発生5日目の逮捕

逃走した容疑者をかくまった容疑で逮捕された住人の男(38)の自宅アパートから押収品を運び出す県警の捜査員=23日午後6時15分ごろ、横須賀市森崎4丁目

 実刑判決が確定した後の収容を振り切り、神奈川県愛川町の自宅から行方をくらました男(43)の逃走事件は、発生から5日目に急展開した。県警は23日、自宅から南東に約45キロ離れた横須賀市の知人宅で同容疑者の身柄を確保。潜伏先の近隣住民は早朝の物々しい逮捕劇に驚くとともに、「まさか横須賀にいるとは」と困惑した表情で語った。

 容疑者が潜伏していたアパートは、地元住民しか通らないような裏道沿いにたたずむ。閑静な住宅街が喧噪(けんそう)に包まれたのは23日明け方だった。近隣住民によると、重装備の警察官数十人がアパートの2階や階段下などに張り付き、「出てこい」「逃げられないぞ」と声を張り上げたという。

 近くに住む男性会社員(29)は「騒がしかったので目が覚めた。何事かと思い、外を見てびっくりした」と当時の状況を説明。同じアパートの1階に住む男性(64)は「すごい音だったので慌てて外を見た。事態が飲み込めず、大勢の人がいて怖かった」と振り返った。

 警察官の説得で部屋から出てきた同容疑者は両手を上げ、すぐさま大勢の警察官に取り囲まれた。暴れることはなく、観念した様子で、両腕を抱えられながらアパート前に止められた警察車両に押し込まれたという。

 同日午後4時すぎには、同容疑者をかくまった容疑で逮捕されたこの部屋の住人の男(38)を立ち会わせ、県警が家宅捜索を実施。押収物を詰め込んだ段ボール箱を運び出し、周囲は再び騒然とした。

 これまでの捜査で、逃走していた男は逃走当日の19日、相模原市内や東名高速道路を車で走行し、舞い戻るような形で厚木市内のコンビニに立ち寄った後、同市内で車を乗り捨てたことが判明。翌朝には大和市内に移動したとみられていた。逃走直後は防犯カメラに写り込むような場所に姿を現すなど大胆な行動も目立ったが、その後は足取りがはっきりせず、県警は協力者がいるとみて調べていた。

 地検によると、21日夜に同容疑者とみられる人物から県警に「明日の昼に出頭する」との連絡があったが、出頭しなかった。このほかにも、同容疑者の足取りに関するとみられる情報が会員制交流サイト(SNS)上で飛び交ったが、いずれも真偽は不明だった。

 地元の愛川町や厚木市周辺に依然として潜んでいるとの見方もあっただけに、身柄が確保された現場近くに住む男性会社員(36)は「横須賀は関係ないと思っていた」と驚いた様子で語った。

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