文通6年 口之津小で1年間の〝ペア〟が縁 福岡の短大生・八木さん、南島原市立口之津中・松尾さん

受け取った手紙を手に笑顔を見せる松尾さん(左)、手紙をうれしそうに読み返す八木さん(右)=南島原市口之津町

 長崎県南島原市口之津町の女子中学生と、同町出身で現在は福岡市在住の女子短大生が6年以上、文通で交流を続けている。かつて、同じ小学校の1年生と6年生として、1年間“ペア”になったのが縁。携帯電話や会員制交流サイト(SNS)が普及する中でも、お互いの何げない日常や悩み、夢などをあえて手紙で語り合い、絆を育んでいる。

 2人は、短大1年の八木優里さん(19)と、南島原市立口之津中2年の松尾しずくさん(13)。八木さんは市立口之津小6年だった当時、新入生の松尾さんの“お世話係”を担当した。勝手が分からない1年生と6年生がペアになり、授業の受け方など学校生活全般について1年間を通して教える取り組み。同校で数十年前から続く伝統だ。

 八木さんが1年間、優しく丁寧に付きっきりでアドバイスしたかいもあり、松尾さんは入学後の緊張もほぐれ「近所のお姉ちゃん」として慕うようになった。文通は、中学進学で会う機会が減った八木さんに、「元気ですか?」と松尾さんが手紙を出したのが始まりという。

 学校や地域での近況、勉強や部活へのエール、日頃の悩み-。以来、年に数回ほど手紙や年賀状をやりとりし、家族旅行の土産や手作りアクセサリーを贈り合うなどしてきた。

 八木さんは地元の高校を今春卒業し、保育士を目指して福岡の短大に進学。現在は寮生活を送る。「しずくちゃんは“地元のかわいい妹”のような存在。高校受験のときなどいつも励ましてくれて、優しい気遣いができるしっかり者。手紙だと、より温かみを感じる。お世話係の縁で友達になれて本当にうれしい」と話す。

 こうした八木さんに、松尾さんは「私はまだ将来の夢を考え中だけど、一つの夢に向かって進む優里ちゃんは勇気があってすごい」と刺激を受けている。中学では勉強や陸上の部活、生徒会活動で忙しい毎日。「遠くに行ってしまって寂しいけど、きっとまた会える。これからも優里ちゃんを応援していくし、私も同じように頑張る」と笑顔を見せた。

 2人は、離れていても相手を思い、励まし合い、それぞれの地で今を精いっぱい過ごすつもりだ。いつか再会したとき、互いの成長した姿を見せ合うのを心待ちにしながら。

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