雲仙市、観光客300万人割れ 戦略策定で歯止めへ 外国人宿泊客2年ぶり増加

雲仙市 観光客の推移

 長崎県雲仙市は21日、2018年の観光統計を発表した。観光客数は延べ約285万2千人(前年比6.2%減)で、4年連続の減少。05年の新市発足以降、初めて300万人を割った。市は「非常に厳しい状況」として、本年度から新たな観光戦略の策定に着手する。
 観光客の内訳は、日帰り約194万人(同5.9%減)、宿泊約91万2千人(同6.7%減)。観光消費額は約118億1200万円(同6.3%減)だった。修学旅行宿泊客も約1万3千人(同12.1%減)に減少した。
 一方、外国人宿泊客は約7万人(同0.4%増)で2年ぶりに増加。中国、香港を中心にアジア圏の客が好調で、1人当たりの滞在日数も延びた。
 宿泊客の落ち込みは、これまで団体旅行向けだった大型旅館が個人客向けに移行して客室数を減らしたことや、改修工事などによる休業で受け入れ施設自体が減少していたことも要因にある。ただ、日帰り客も減少しており、市観光物産課は「全体的に客足が落ちている。非常に厳しい状況」と危機感を募らせる。
 こうした状況を背景に、市は観光戦略策定推進事業として1650万円を本年度予算に計上。観光施設や飲食店、交通機関などの連携を盛り込んだ新たな観光戦略を策定し、誘客強化を図る。3カ年計画で計約5千万円を投じる方針。
 7月中をめどに戦略策定に向けた最初の会合を開く予定で、同課は「既存事業の再構築や誘客体制の強化を進め、観光客減少に歯止めをかけたい」としている。

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