梅雨でも山に行きたい!“好山病”対策に効果的な山5選【東北&北海道版】 梅の果実が熟する6月頃に降る雨。“梅雨”と呼ばれる由来は諸説ありますが、東アジア特有の長雨の時期です。山の天気予報とにらめっこしても登山日和の晴天は少なく、かと言って、家にこもって山の本を眺めるだけなんてつまらない!そこで、梅雨の魅力がたっぷり詰まった東北と北海道の山に足を運んでみませんか?初心者の方やハイカーさん必見です!

梅雨真っ只中!ぐずついた天気の仕組みとは?

ジメジメしたイヤな梅雨の時期が到来しました。「どうして梅雨はスッキリしない天気がいつまでも続くの?」と、気分まで下がってきますよね。今の時季、日本の北側には低温のオホーツク海気団、南側には高温の小笠原気団があり、この2つの気団がぶつかり合って出来るのが、梅雨前線です。2つの気団は共に多湿でほぼ同じ勢力で南北100kmを行き来するために、ぐずついた天気が続くのです。

2019年の東北と北海道の梅雨情報

5月16日を皮切りに、沖縄から九州、関東へと梅雨入りしています。東北地方の梅雨入りはご覧の通りです。

地方:

  • 東北南部: 6月12日頃~7月25日頃
  • 東北北部: 6月14日頃~7月28日頃

梅雨入りと梅雨明けの予想:

  • 東北南部: 6月7日
  • 東北北部: -

2019年の梅雨入り:

  • 東北南部:
  • 東北北部:

(参考:2019年6月9日の時点)

実は北海道に梅雨はありません。しかし、道南の太平洋の地域は、7月中旬に降水量が多くなる統計データがあります。また同地域には”蝦夷梅雨”と言う夏前に多く降る雨の時期があります。

梅雨の時期に起こり得る“好山病”に要注意

近年知れ渡りつつある”気象病”をご存知でしょうか?気象病は、気温・気圧・湿度などの急激な変化により、体調不良を起こす症状の総称です。症状が出やすいのは、気圧の変化が大きい台風の接近時、梅雨、低気圧が通り過ぎる春・秋・冬。

ちなみに6月は、一年のうちで一番気圧が低い月と言われています。さらに梅雨の時期は、本州を横断するようにできた梅雨前線上に低気圧ができるため、梅雨の期間と相まって長期間体調が優れない方もでてくるようです。

山好きのみなさんも“好山病”にご注意を!

山好きの方に起きる「雨ばかりでパッとしない。山に行けなくて気分がモヤモヤ。もう無理…」とフラストレーションが溜まる好山病の症状が出ている方、思い切って山に出掛けてしまうのはいかがでしょうか?自然界の癒しを全身に取り込んで、好山病を切り抜けましょう!

“好山病”を切り抜ける山情報【東北&北海道編】

梅雨の時期でも歩けるコースタイム5時間以内の山5座を、コースタイムが短い順にご紹介します。東北と北海道の山の魅力をたっぷり堪能しましょう!

①白神山地・十二湖(150~240m)|青森県・秋田県

  • 標高: 150~200m
  • 所在地: 青森県西津軽郡深浦町
  • 最高気温(6月-8月): 17.6℃
  • 最低気温(6月-8月): 10.9℃

(気温は白神岳より)
白神山地はブナ林が世界で最も広大な山域で、ユネスコ世界遺産に登録されています。標高1,000~1,200mの9つの山々が連なるその一角に33湖の湖沼が存在する”十二湖”は、アップダウンの少ない人気のエリア。ブナ林を歩きながらイチ押しの湖を巡り、そしてむき出しになった白い大岩壁が見られる盛り沢山のコースをご紹介します。

おすすめコース:森の物産館キョロロ(5分)→鶏頭場の池(5分)→青池(5分)→ブナ自然林(15分)→沸壺の池(20分)→仲道の池(10分)→王池(5分)→日暮の池(20分)→日本キャニオン(10分)→八景の池
コースタイムと距離:1時間40分/4.5km

<青池の神秘的な透き通った湖面>

青池は5~10月が見頃ですが、太陽の陽が射す5~8月が特に綺麗に見えます。さらに、一日のうちでも午前と午後とでコバルトブルーの湖面の濃淡が変わり、池の底の倒木やなどが見えるほどの透明度です!

<宝石のような輝きを放つ沸壺の池>

こちらの沸壺の池も、青池と並ぶほど透明度の高いエメラルドグリーン。沸壺の池は”平成の名水100選”にも選ばれ、十二湖庵では”沸壺池の清水”を使った抹茶をいただくことができます。
白神山地ビジターセンター

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②樽前山(1,041m)|北海道

まるで異世界に来たかのような独特の山容の樽前山。ここ数年で登山者が増えているの人気の山です。樽前山は約9000年前の噴火で誕生し、現在は噴火警戒レベル「1(活火山であることに留意)」。活火山でも最短で1時間もかからずに山頂に着くつくことから軽装になりがちですが、海からの風で稜線上は寒さを感じることもあります。装備などを再確認して臨みましょう!

樽前山活火山情報おすすめコース:七合目ヒュッテ(45分)→東外輪山取付(40分)→西山(40分)→北外輪山取付(20分)→ヒュッテ分岐(60分)→七合目ヒュッテ
コースタイムと距離:3時間25分/7.6km

<樽前山ならではの花が見られる!>

タルマエソウは、樽前山に多く生息することが花の名前の由来。7月中旬にはふっくらとした袋状の花を咲かせ、秋は葉が紅葉する表情豊かな花です。

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③秋田駒ヶ岳(1,637m)|秋田県・岩手県

  • 標高: 1,637m
  • 所在地: 秋田県仙北市 岩手県岩手郡雫石町
  • 最高気温(6月-8月): 16.2℃
  • 最低気温(6月-8月): 8.7℃

参考:ヤマレコ
秋田駒ヶ岳は男女岳・男岳・女岳などの総称で、山開きは6月1日。駒ヶ岳登山口から八合目まではマイカー規制があるので、代替バス「アルパこまくさ」での移動になります。また秋田駒ヶ岳は噴火警戒レベル「1(活火山であることに留意)」。バス・火山情報を事前に確認して、計画を立てましょう!

秋田駒ヶ岳マイカー等規制

アルパこまくさのバス時刻を調べる「羽後交通」秋田駒ヶ岳火山情報
おすすめコース:八合目(60分)→阿弥陀池(60分)→横長根と横岳の分岐(40分)→横岳(15分)→焼森(40分)→八合目
コースタイムと距離:3時間35分/6.7km

<のどかなムーミン谷にぴったりな花>

秋田駒ケ岳の魅力が詰まったムーミン谷には、チングルマがひしめき合うように咲いています!

<小さくも力強い生命力の花々>

黒っぽく見える大焼砂は、火山性の砂や小石で覆われています。ここに、鮮やかな黄色のタカネキスミレが咲き誇った後は、ピンク色のコマクサが入れ替わりで咲きます。タカネキスミレの見頃は6月~7月、コマクサの見頃は6月下旬~8月中旬。過酷な環境で生育する高山植物に、心を奪われる瞬間です。

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④不忘山(1,705m)|宮城県

  • 標高: 1705.3m
  • 所在地:
  • 最高気温(6月-8月): 15.4℃
  • 最低気温(6月-8月): 9.4℃

南蔵王の南端に位置する”御前岳”とも呼ばれる不忘山には、カエル岩の向かい側に、1945年に墜落した米国B29の慰霊碑があります。ご紹介するコースはそれなりの勾配があり、山頂の手前はガレ場です。登山道には泥濘がある箇所もあるので、足元に注意しましょう。

おすすめコース:無料休憩所(30分)→白石女子高小屋跡(120分)→不忘山(御前岳)(90分)→白石女子高小屋跡(20分)→無料休憩所
コースタイムと距離:4時間20分/8km

<登り応えのある花の山>

不忘山は花の百名山に選ばれている山。6月はハクサンイチゲやユキワリコザクラ、7月はタカネバラの群生。ガッツリ歩きながら可憐な花達に癒されますよ!

<山頂から見える南屏風岳の巨大壁>

5月末から6月上旬までは、南屏風岳の沢筋は残雪があります。不忘山山頂から見える南屏風岳の延びる稜線が、圧巻の景色!目の前には水引入道山から後烏帽子岳、さらに吾妻山や月山、飯豊山なども望めます。

⑤田代山(1,926m)|福島県

  • 標高: 1,926m
  • 所在地: 福島県南会津郡南会津町 栃木県日光市栗山村
  • 最高気温(6月-8月): 18.4℃
  • 最低気温(6月-8月): 8.2℃

「テーブルマウンテン」の代名詞を持つ田代山は、その名の通り山頂が平らな山。山頂は広大な湿原が広がり、約400種類もの高山植物が生息しています。遠くには会津駒ヶ岳や燧ケ岳が見え、奥行きのある開放的な湿原は、まるで時間が止まったかのような穏やかな空間です。

おすすめコース:猿倉登山口(100分)→小田代(35分)→田代山湿原(15分)→田代山避難小屋(45分)→小田代(75分)→猿倉登山口
コースタイムと距離:4時間30分/5km

<そよ風に優しく揺れるワタスゲ>

ワタスゲの見頃は6月中旬頃から。辺り一面に生息するワタスゲは優しく風に撫でられ、天空の楽園と言う言葉がぴったりな湿原です。他にはタテヤマリンドウやニッコウキスゲ、そしてサラサドウダンなどに出会えますよ!

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雨の登山には危険も!梅雨ハイクで気を付けるべきポイント

①雨によるスリップや川の水量などに注意
雨のため登山道の土も緩み、木道や木の根・石が滑りやすくなるので、手元足元には十分注意して下さい。また、川や沢の増水や氾濫が起こりやすくなるため、現地付近の天気予報を確認しましょう。
②行動中の体調管理に留意
樹林帯は湿度が高く蒸し暑くなります。服装のレイヤリング調整を始め、熱中症にならないよう水分や行動食を携行しましょう。
③身の回りの防水対策
天候変化によるレインウェア、足元はゲイターや防水機能付きの登山靴、カメラやスマホなどデジタル機器の防水対策も必要です。
④無理のない登山計画を
突然の雨や雷雨など、変わりやすい山の天気。事前に、本来歩くコース以外にエスケープルートがあるか確認しましょう。コース上に小屋・避難小屋があると安心です。登山道が整備された高原や湖沼群のハイクなら、小雨でも歩けます。

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シトシト降る雨を味方にリフレッシュしよう!

自然の中に身を置くのは、心身のリフレッシュとパワーチャージに効果的です。梅雨は東アジア特有のものでマイナスのイメージが強いですが、雨の潤いを味方につけて山の空気や緑などを楽しみましょう!

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