全日本ロード:新クラス、ST1000の概要が発表。タイヤはワンメイク制度でサプライヤーも明らかに

 日本モーターサイクルスポーツ協会(MFJ)は、全日本ロードレース選手権第4戦が開催された筑波サーキットで2020年から新設される新クラス、ST1000クラスの概要を発表した。

 2019年を持って終了するJ-GP2クラスに変わり、2020年から新たに誕生するST1000クラス。このクラスは、市販されているスーパースポーツで争うプロダクションレースで、国内最高峰JSB1000クラスの下位クラスとして位置づけられている。

 ST1000クラスは、次代のJSB1000クラスやロードレース世界選手権MotoGPのMoto2クラスに通用するライダーを排出することを目的としている。22日に行われた会見ではST1000クラスのコンセプトやマシン規則などが一部明らかになった。

 近年はアジアロードレース選手権、スーパーバイク世界選手権、世界耐久選手権(EWC)など世界的に1000ccプロダクションクラスが主流となっており、ST1000も各選手権との調和を目指しているという。

 またライダーの技量で争うクラスとすべく、ローコスト/イコールコンディションを実現するために、ECU(エンジン・コントロール・ユニット)は登録制度と買い取り制度が設けられ、タイヤはワンメイク制度が導入される。

エキシビジョンレースに登場したST1000クラスの車両
エキシビジョンレースに登場したST1000クラスの車両

 全日本選手権でのST1000クラスは単独での開催。また、地方選手権では新たにST1000クラスを基準とする、国内ライセンスのナショナルST1000、国際ライセンスのインターナショナルST1000、国際ライセンスのインターナショナルJSB1000が設けられる。地方選手権の3クラスはエントリー台数によって混走が認められるという。

 全日本選手権、及び地方選手権のナショナルST1000とインターナショナルST1000はワンメイクタイヤの対象だが、インターナショナルJSB1000はワンメイクタイヤの対象外となる。なお、ナショナルST1000は、これまでナショナルJSB1000に参加してきたエントラントを考慮し、移行期間の暫定処置として2019年モデルまでのMFJ及び国際モーターサイクリズム連盟(FIM)の公認車両に限りJSB仕様での参加が可能となる。また、レース距離は公認車両の燃料タンク容量を考慮し、約70Kmを予定しているようだ。

■タイヤサプライヤーはダンロップ、技術規則も一部明らかに

 会見ではST1000クラスのワンメイクタイヤサプライヤーが発表に。MotoGPのMoto2クラスやMoto3クラスにタイヤを供給する住友ゴム工業(ダンロップ)がサプライヤーを務めることが明らかになった。ST1000に供給されるタイヤは、アジアロードレース選手権で使用されているものと同じスリックタイヤで、ドライタイヤは前後2種類、レインタイヤは1種類のスペックが用意される。

ST1000クラスのワンメイクタイヤサプライヤーはダンロップが務める

 またダンロップは、2020年のST1000チャンピオンおよび次点者1名に、アジアロードレース選手権ASB1000クラスへの年間参戦時、エントリー代の補助や鈴鹿8時間耐久ロードレースでのドライタイヤ無償サポートなどを行うスカラシップを設定するという。

 技術規則はST600規則をベースとし、参加車両はMFJ及びFIMのST(スーパーストック)公認車両に限定。排気量は気筒数毎に区分され、4気筒は600cc~1000cc、3気筒は750cc~1000cc、2気筒は850cc~1200ccと発表された。

 また、改造範囲は狭く設定することにともなって、レース性能に特化した高価な車両の参加を制限するために車両市販価格に条件を設ける予定とのことだ。

 その他定めされている技術規則としては、オイルクーラーが装備されている車両はオイルクーラーの変更が可能で、装備されていない場合は追加は認められない。また、最低重量はJSB1000クラスよりも5kg重い170kg、2気筒のマシンに関しては175kgと定められた。ブレーキに関しては1000ccのレース用車両ということで、フロントマスターシリンダーが変更可能となっている。

新庄雅浩(AUTOBOY&RS-ITOH)
藤田拓哉(speed heart DOG FIGHTR・YAMAHA)
笹原隆男(片倉オート商会☆YSP横浜南☆ESUO)
砂塚知男(DUCATI松戸)
中野誠司(イナレーシングチーム)
秋葉康一郎(秋葉MC animo!)

 6月23日には同会場でST1000クラスのエキシビジョンレースが行われ、6チームがエントリー。マシンは国内モデルではカワサキZX-10RR、ヤマハYZF-R1、海外モデルではドゥカティ・パニガーレV4R、アプリリアRSV4ファクトリー、BMW・S1000RRが登場。レースはカワサキZX-10RRを駆った新庄雅浩(AUTOBOY&RS-ITOH)がトップでチェッカーを受けた。

 ST1000クラスはJ-GP2クラスに変わって世界を目指すライダーたちのためのクラスとなるか。新クラスは2020年からスタートする。

エキシビジョンレースで優勝した新匡雅浩(AUTOBOY&RS-ITOH)

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