交流戦の活躍はシーズン成績に直結する? パ・リーグの“チーム首位打者”のその後

オリックス・中川圭太【画像:(C)PLM】

オリックスのドラ7ルーキー中川は交流戦首位打者に

 6月25日、2019年の「日本生命セ・パ交流戦 2019」の全日程が終了した。交流戦期間中の首位打者となったのはオリックスの中川圭太選手だが、12球団それぞれにおける「チーム内首位打者」もまた存在する。普段とは異なる投手との対戦が続くということもあって、18試合という短い期間ながら、選手ごとの好不調の差がレギュラーシーズン以上にはっきりと分かれやすいのも特徴の1つといえるだろう。

 そこで、今回はパ・リーグ6球団における、今季と昨季の交流戦チーム内首位打者と、その成績を確認。昨季のこの時期にチームで最も高いアベレージを残した選手のその後の成績を踏まえた上で、今季飛躍を果たしそうな選手たちの今後について展望していきたい。

 交流戦における規定打席も、レギュラーシーズンと同じく「チーム試合数×3.1」という計算式で求められる。わずか18試合と期間が短いため、毎日3~4打席に立つことができるのは交流戦期間中に主力として活躍した選手に限られてくる。

 以下に記す選手たちも、各球団で主力としてプレーしている選手、あるいは交流戦での活躍によってチーム内での立ち位置を確立した選手と、多くの出場機会が与えられるのも納得の面々となっている。

 パ・リーグの各球団における、交流戦期間中のチーム内首位打者は以下の通り。

日本ハム:西川遥輝
交流戦:18試合 0本塁打 8打点 打率.329 出塁率.395
シーズン:71試合 2本塁打 24打点 打率.302 出塁率.391

楽天:ジャバリ・ブラッシュ
交流戦:16試合 3本塁打 14打点 打率.346 出塁率.470
シーズン:64試合 19本塁打 57打点 打率.292 出塁率.421

西武:中村剛也
交流戦:18試合 5本塁打 23打点 打率.348 出塁率.400
シーズン:66試合 13本塁打 55打点 打率.265 出塁率.354

ロッテ:荻野貴司・鈴木大地
荻野
交流戦:18試合 2本塁打 10打点 打率.368 出塁率.435
シーズン:62試合 5本塁打 17打点 打率.335 出塁率.399

鈴木
交流戦:18試合 6本塁打 17打点 打率.368 出塁率.424
シーズン:67試合 12本塁打 44打点 打率.310 

オリックス:中川圭太
交流戦:18試合 0本塁打 12打点 打率.386 出塁率.419
シーズン:49試合 1本塁打 19打点 打率.321 出塁率.349

ソフトバンク:松田宣浩
交流戦:18試合 7本塁打 14打点 打率.348 出塁率.397
シーズン:72試合 17本塁打 44打点 打率.291 出塁率.327

西川や鈴木は元来、交流戦での相性は良かった

 中川は交流戦期間中に大ブレイクを見せてレギュラーの座をつかみ、ルーキーとして史上初の交流戦首位打者に輝いた。ブラッシュも来日1年目ながら出色の活躍を見せ、最終盤まで打率トップを争う活躍を見せた。この2人はともにNPB1年目ながら、初対戦となるセ・リーグの投手たちに適応して見事な成績を残している。

 残る4球団のチーム内首位打者は、いずれも過去の実績が豊富な面々だ。西川は2016年に打率.355、2017年に打率.361と交流戦に強かったが、昨季は打率.227と苦しんだ。今季は期間中に無安打だった試合はわずか3試合と、安定した打撃を見せ、交流戦との相性の良さをあらためて印象付けた。

 鈴木は2016年に打率.344、2017年に打率.288、2018年に打率.338と例年交流戦に強く、今季は高打率に加えて6本塁打とアーチも量産。2度の1試合2本塁打、6月16日の中日戦での逆転サヨナラ打など、印象に残る活躍をたびたび披露した。荻野は2016年は交流戦への出場がなく、2017年は打率.235と今一つ。しかし、昨季は打率.360と好調で、2年続けての活躍となった。

 松田宣は2016年に打率.222、2017年は打率.217、2018年は打率.212と、過去3年間は交流戦で苦戦を強いられていた。しかし、今季は打率.348に加えて7本塁打、14打点と長距離砲としての真価を発揮。全18試合に出場して故障者続出のチームを支え、2年ぶり8度目となる交流戦優勝に大きく貢献。交流戦MVPにも輝いている。

 今季も5本塁打、23打点と勝負強さを発揮し、交流戦における歴代最多打点記録も塗り替えた中村は、2005年の交流戦初年度から活躍を続けてきた。打点に加えて通算本塁打でも歴代最多記録を保持しており、これで交流戦通算記録の“二冠王”に。元来アベレージヒッターではないが今季は打率も高く、35歳という年齢を感じさせない見事な打撃を続けている。

昨季は角中が失速するも、上林や田中がキャリアハイの成績

 2018年のパ・リーグ各チーム内での交流戦首位打者に輝いた選手たちを紹介していきたい。各選手の交流戦での成績と、シーズン通算成績は以下の通り。

日本ハム:近藤健介
交流戦:17試合 6本塁打 21打点 打率.393 出塁率.485
シーズン:129試合 9本塁打 69打点 打率.323 出塁率.430

楽天:田中和基
交流戦:18試合 2本塁打 8打点 打率.314 出塁率.385
シーズン:105試合 18本塁打 45打点 打率.265 出塁率.323

西武:秋山翔吾
交流戦:18試合 4本塁打 15打点 打率.380 出塁率.443
シーズン:143試合 24本塁打 82打点 打率.323 出塁率.403

ロッテ:角中勝也
交流戦:18試合 1本塁打 11打点 打率.412 出塁率.474
シーズン:112試合 7本塁打 57打点 打率.265 出塁率.345

オリックス:吉田正尚
交流戦:18試合 3本塁打 10打点 打率.397 出塁率.447
シーズン:143試合 26本塁打 86打点 打率.321 出塁率.403

ソフトバンク:上林誠知選手
交流戦:18試合 3本塁打 10打点 打率.296 出塁率.447
シーズン:143試合 22本塁打 62打点 打率.270 出塁率.315

 12球団全体でもトップの打率を残した角中をはじめ、.380以上の打率を残した選手が4人もいた。田中選手も期間中の打率が.300を超えた交流戦での活躍によってレギュラーの座を完全に手中に収めた。2018年までの通算打率.267に対して、出塁率は.309と早打ちの傾向が強かった上林も出塁率.447と課題の選球眼でも優れた値を残していた。

 シーズン全体の成績に目を向けると近藤、秋山、吉田正の3人が打率.320を超えるハイアベレージを記録。若手の田中と上林もキャリアハイとなる成績を残している。角中は過去の実績を考えるとやや不本意な数字にとどまったが、6名全員が規定打席に到達したことが、各選手が主力としての働きを続けていたことの証明にもなるだろう。

 今季の交流戦でパ球団のチーム内首位打者に輝いた7選手のうち、現時点で規定打席に到達した経験がないのはブラッシュ、荻野、中川の3人。昨季と同様に、今季の交流戦で活躍を見せた選手たちもこのまま主力としてシーズンを駆け抜け、全員が規定打席に到達することになるだろうか。キャリアハイとなる成績を残せるかどうかも含めて、各選手のその後の活躍に注目してみる価値は大いにありそうだ。(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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