2月に犯行準備か 包丁4本、同時期購入の可能性 登戸児童殺傷1カ月

現場には数多くの花や菓子などが手向けられた=5月29日朝、川崎市多摩区

 川崎市多摩区の登戸駅近くの路上で5月28日、スクールバスを待っていた児童ら20人が殺傷された事件で、現場で自殺した職業不詳岩崎隆一容疑者=当時(51)=のリュックサックに入っていた包丁2本と同じ商品が2月に同市麻生区の自宅近くの店舗で販売されていたことが27日、多摩署捜査本部への取材で分かった。事件に使用した包丁2本を購入したとみられる時期とも重なり、同月に本格的に準備を始めた可能性がある。

 捜査本部によると、リュックサック内の包丁と同種の商品は、2月21日と26日に同区の2店舗で1本ずつ販売されていた。同容疑者の行動範囲だった同区や東京都町田市、同新宿区などの店舗も調べ、この2本以外は全てクレジットカードによって購入されたという。同容疑者はクレジットカードを契約した形跡は確認されていない。

 使用された包丁2本については、同21日に町田市内の量販店で同時に購入した可能性があることが既に分かっている。捜査本部は防犯カメラの画像を解析するなどして包丁4本の購入者の特定を進めている。

 また事件発生6日前の5月22日に、同容疑者とみられる人物が事件と同時間帯に登戸駅や現場近くの防犯カメラに写り込んでいたことも確認された。24日にも同容疑者とみられる人物が写っており、入念に下見をした可能性がある。

 捜査本部によると、他者との接触を避けて暮らしていたとみられる同容疑者に、同居する伯母が1月2日に自立を促す手紙を渡したが、後にびりびりに破られてテーブル上に置かれていたと親族が話していることも判明。同7日にも再度手紙を渡したが、同容疑者は「ちゃんと自立している」と強く反発したという。

 事件では、私立カリタス小学校(川崎市多摩区)の6年生の女児=当時(11)=と保護者の外務省職員の男性=当時(39)=が死亡、18人が重軽傷を負った。捜査本部はこれまでに延べ約1200人を動員。親族やかつての職場仲間など計約360人を聴取したが、動機の解明には至っていないという。

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