【レビュー】パーゴワークスの新『RUSH』シリーズ。ハイクでも超使えるスグレモノでした! フツーじゃない、でも、こんなの欲しかった! というアイテムを得意とする日本のアウトドアブランド『パーゴワークス』。そのラインナップで「RUN」カテゴリーに分類される『RUSH』シリーズが今春リニューアル。ハイキングに使いやすい『RUSH30』を実際に背負って歩いて感じたことは、走るための軽さと機能は、歩くためにもサイコーということでした!

新しくなった『RUSH』シリーズを

ハイクに使わない理由はなし!

行動中に必要な小道具類を、身体の前面に収納しておけるチェストバッグ『パスファインダー』。変幻自在にカタチを変えて創造力とシーンに対応する『ニンジャタープ』等々、当たり前ではないという意味でフツーじゃない、だけれども使ってみれば、こんなのが欲しかった! と思えるアイテムを多くラインナップしているアウトドアブランド『パーゴワークス』

今春、同ブランドの中で「RUN」カテゴリーに分類される人気の『RUSH』シリーズが、フルモデルチェンジされました!

RUSHシリーズは容量に応じて5モデル

『RUSH』シリーズには3ℓ・5ℓ・12ℓ・20ℓ・30ℓの5モデルがあり、それぞれの大きさに応じた機能を装備しています。中でも12・20・30ℓモデルは、トレイルランやファストハイクだけでなく山を歩くことにも十分に使える、むしろ軽さを活かして積極活用したいバックパックなんです!

RUSH 30にテント泊装備を収納してテスト!

そこで、一番容量が大きく幅広くハイキングに対応できる『RUSH 30』に、さらにハードルを上げて1泊のテント泊装備を収納。山梨県の大菩薩峠周辺を歩き、その機能性を確かめてきました。

上の写真はその装備。テントや寝袋、マット、雨具、着替え、行動食、フリーズドライ食品、ストーブ&クッカー、エマージェンシーセット、水3.5ℓ等々を収納しました。実際には時間の都合でテント泊はしていませんが、これらの装備を背負って5時間程歩いてみました。

ちょっとパンパンですが・・・それでもパック上部にスリーピングマットをセットできるホルダーがあり、そのおかげでUL装備までシビアに軽量コンパクトさを追究しなくても、テント泊装備が入ってしまうのがこの『RUSH 30』の大きな特長です。今回は敢えてULハイカー的にクローズトセルのマットを装備しましたが、もっとコンパクトなエアマットにすれば詰め込みすぎ感も解消できるでしょう。

えっ、なにこれ!

足取りが軽いんですけれど!?

背負ってみると、びっくりです。パック上部、マットを留めているストラップ=トップスタビライザーを引くとググッと重さが肩甲骨の上に乗り、幅の広いポケット付きのショルダーベルトとパック本体が上半身を挟み込むようにしてブレを抑えるんです。

ウエストベルトは簡易的なストラップが装備されているだけで、登りではセットしませんでした。そのため腰まわりは自由、そして歩きやすい上になんだか足取りが軽い! ウエストベルトは、下りでのパックの揺れを防ぐのに有効です。揺れによって生じる肩の痛みの発生を和らげる効果もあるように思えました。

軽さの理由は”ブレのなさ”

さらにショルダーベルト下部の本体との連結部、昨年モデルまでは通常のバックパック同様に本体とショルダーベルトは1カ所で繋がっていて、下方向にストラップを引いて長さ調節をするタイプでした。

しかし新モデルは上の写真左のように、本体と2カ所で接続、ストラップを上に引き上げるようにして長さ調節します。これだと背中の上部にパック本体を乗せやすいんです。またパックの重心を身体側に引き寄せるトップスタビライザーとの合わせ技で、ブレを抑えて荷物が軽く感じるのです。

ブレないから”安全”でもある

荷物がブレにくく、ウエストベルトが前述の通り簡易的で自由度が高いので、岩場やハシゴ・鎖・ロープ場といった手足を使う場所での身体の動かしやすさは格別です。本来は走りやすさを実現する機能と思われますが、歩行時にはいわゆる難所での安全性向上に役立ちます。

『ベスト型』の利便性

ULスタイルの流行で、最近のハイカーの多くはショルダーバッグのサコッシュを愛用しています。またパーゴワークスが広めたチェストバッグの愛用者も多いです。

しかしよりシンプルさを求めるなら、ベストのように収納力の大きなポケットを装備したショルダーベルトも機能的。『RUSH 30』ならペットボトルや行動食、スマホ等歩行中に必要なものがブラブラする煩わしさなしに収納できます。

筆者は別ブランドの30ℓと50ℓ容量のベスト型バックパックを長年使ってきていますが、この『RUSH 30』も同様にストレスフリーで運動性の高いバックパックです。

より軽く、より遠くへ

30ℓという容量は、収納する道具が必然的に限られます。大物道具となるテントは1kg以下、寝袋は500g以下を選ばないと他の装備を収納できないでしょう。しかしそれらを選べば、山小屋泊の装備からプラス2kg程度の重量増だけで、足取りの軽いテント泊ハイキングが実現できるのです。それってハイキングの幅を大きく広げる、アドバンテージだと思うんです。

さて、この『RUSH 30』の旧モデル『RUSH 28』をつくるにあたり、デザイナーの斎藤徹さんはこんなことを同社のHP上に記しています。

考えてみれば「より軽く、より遠くへ」という願望はハイカーにとってもランナーにとっても普遍的で、バックパックの開発においても普遍的テーマなのかもしれません。RUSH 28のキャッチコピーには「ファストパッキング」という言葉を使っていますが、決してスピードや軽さを求めるだけのバックパックではありません。いつもより軽い装備一式を持って、いつもの山に行ってみてください。きっと新しい楽しみを知るはずです。思わず早足になってしまうRUSH 28を背負って。

RUSHシリーズはRUNにカテゴライズされていますが、少なくとも『RUSH 30』については、ランにもハイキングにもマルチに使えるバックパックとして作られていることが、斎藤さんの言葉からわかります。

RUSH 30以外もハイクで使ってみたい!

アクティブ派のデイパック RUSH 20

『RUSH30』とよく似たデザインで、同様に身体へのフィット感に長けたモデルが『RUSH20』。前面中央のセンターストラップを背負ったまま引くことでコンプレッションできる仕様も『RUSH30』と同じ。容量は20ℓとコンパクトになり、デイハイクを身軽に行いたい人にぴったりです。

低山ハイクならコレで十分! RUSH 12

トレイルランニングでロングレースに対応するためのパック。肩まわりを包み込むようなベスト型で、フィット感に非常にすぐれています。筆者はこの旧型を愛用していますが、ランニングからデイハイクまで、もっとも使用頻度の高いモデルです。

容量は12ℓですが、ショルダーベルトの2つのポケット、ボトムポケット、サイドポケット等、多様なポケットを備え、豊富な収納性を装備しています。

荷物をデポしてコレで山頂へ! RUSH 5R

山小屋やテント場から山頂までピストンするルートの場合、わざわざ重い荷物を背負って行く必要はありません。不要なものは残し、行動食や水、レインウエア等、必要最小限の荷物だけを持って行けばOKで、なにより安全でもあります。

そんな時に背負うのがアタックザックと呼ばれる軽量コンパクトなバックパックですが、この『RUSH 5R』は重量わずか250g。トレイルレースを目的にしたモデルなので、山頂を目指すのに必要な装備はすべてしっかり収納可能。しかもフィット感抜群で、動きやすいアタックザックとして重宝します!

日常から旅先の散歩やランに RUSH 3AIR

ストレッチメッシュ製の、超軽量コンパクトなバックパック。パーゴワークスらしさ満点のアイテムで、使う人の想像力を試す道具でもあります。本体には500mlペットボトルや軽量ウィンドブレーカーを収納。ショルダーベルトのポケットには財布とスマホと行動食。散歩、ランニング、サイクリング等々、最小限の装備で自然と触れ合う時間に使いたくなるアイテムです。

最後にもう一度言います!

『RUSH』シリーズはハイキングにいいんです!!

ベスト型のバックパック=ランニング用。自分はランニングはしないから、ベスト型のバックパックは不要・・・一旦、そんな考えを脇に置いてみてください。ベスト型のバックパックは、軽量なハイキング用パックパックの新たなカタチとしてあると思うんです。

軽くて、背負い心地がよくて、動きやすい、しかも工夫次第でいろいろなシーンに対応するパーゴワークスのRUSHシリーズ。きっと新たなハイキングの楽しみ方さえも生み出す、エポックメイキングだと感じました!

それでは皆さん、よい山旅を!

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