映画『惡の華』井口昇生誕50周年、監督×原作者対談インタビュー!「生きていて居心地の悪さを感じる人たちに見てもらいたい」

累計発行部数300万部を記録する押見修造の人気コミックを原作とした、映画『惡の華』が9月27日(金)より全国公開となる。

本作のメガホンを取った井口昇監督の生誕50周年(6月28日生まれ)を祝し、監督と原作者・押見修造先生の対談インタビューを一部公開。なお、この対談の詳細は映画公式サイトにてご覧いただける。

井口監督は、「「惡の華」ほど酸素のように体に染み渡って理解できて感動した作品は初めてだったんです」と話した。講談社の編集担当にお願いして押見先生を紹介してもらったのは今から6~7年前。

その時押見先生は既に井口監督作品を観ていたそうで、「19歳の時VHSで『クルシメさん』を拝見して、自分が抱えている苦しさやつらさが表現されている作品があることに驚きましたし、凄く救われたんです。僕が漫画家になれたのは井口監督のおかげだと、勝手に恩を感じています」と語り、正に相思相愛な2人。

伊藤健太郎さん演じた主人公・春日については、「自分を投影しているキャラクターなので、おこがましいんですけど、途中から自分に見えてきちゃいました。可愛いやら、憎たらしいやらで」と押見先生は話す。

井口監督がこだわったのはブルマの描写。秋田汐梨さん演じるクラスのマドンナ・佐伯奈々子がハードルを飛ぶシーンだが、「この映画が海外の映画祭で上映された時に、まずは海外の人にブルマの良さを伝えない事には、春日がブルマを盗む心理が分からないから、映画に入っていけないんじゃないかと思ったんです」と井口監督は語った。

それに対し押見先生は、「あれがあるとないとでは大違いです。あの当時の自分を叱ってやりたい気分です。盗む前に佐伯さんのブルマ姿をもっとちゃんと描いておくべきだったと気づかされました。ありがとうございます」と太鼓判を押している。

2人がこの『惡の華』という作品に詰め込んだのは、若い人たちに向けて、これから先も続く人生へのエール。「思春期って、一般や平均の概念から外れている人って、すぐに「おかしい」「変」と言われて、差別の対象になりやすいじゃないですか。学校がつらい人や、生きていて居心地の悪さを感じる人たちに見てもらいたいです」と井口監督。押見先生は、「まさに、僕もその想いを漫画に詰め込んだつもりだったので、その思いを汲んで頂いたと感じました。原作を好きという方も感動してくれるんじゃないかなと思います。できることなら自分が中高生の頃に、この映画を見たかった。見ていたらマンガを描かずに済んでいたと思います。原作者として、こんなにも嬉しい映画化は無いです」と、本作に熱いラブコールを寄せた。

監督と原作者がこれ以上無い程に共鳴し合っている映画『惡の華』、是非公開を楽しみに待とう。

© 有限会社ルーフトップ