対馬の水産品 加工拠点完成 販路拡大へ1日から供用  衛生管理の国際基準対応

落成した対馬市流通加工拠点施設で、魚の内臓をバキューム方式で自動処理できる機器を見学する関係者=同市豊玉町

 長崎県対馬市内の水産加工品ブランド化や販路開拓に取り組む一般財団法人「対馬地域商社」(土脇道久理事長)が使う市流通加工拠点施設が豊玉町貝鮒に完成した。食品衛生管理の国際基準「HACCP(ハサップ)」に対応した除菌設備などを備えており、7月1日から供用開始する。

 施設は、鉄骨平屋(床面積925平方メートル)で、水道水から除菌用の次亜塩素酸水を作り出す装置や、魚の内臓をバキューム方式で自動処理できる機器、急速冷凍設備などを備える。総事業費は5億9700万円。島内の水産加工業者への原材料供給や、島内飲食店への鮮魚、活魚の配送機能もある。

 15日にあった落成式には約70人が出席。土脇理事長は「対馬の水産業の一翼を担う新加工場。安心安全をモットーに、暮らしの豊かさに貢献できる地域商社を目指したい」とあいさつ。比田勝尚喜市長は「対馬の水産資源はどこにも負けない。衛生面などで付加価値を高め、全国に売り出していければ」と期待感を込めて話した。

 同商社は旧豊玉町振興公社を前身に、島内の漁協や水産加工業者らで2017年9月に設立。施設は、島外に出荷する水産加工品を集約して輸送コストを低減することなどを目指し、対馬市が18年7月、国の離島活性化交付金を使って着工していた。

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