笹川美和 重要文化財に響かせた16年目の進化! 季節に合わせたテーマ性のある全15曲を披露。

昨年デビュー15周年を迎えたシンガーソングライターの笹川美和が、6月29日(土)に国の重要文化財に指定されている、東京の自由学園 明日館 講堂にて単独公演「笹川美和 Concert 2019 ~薄暑に鳴る笹の葉音~」をおこなった。チケットが完売となった本公演では、新旧織り交ぜた選曲で、タイトル通りの季節に合わせたテーマ性のある全15曲を披露。

BGMのクラシックミュージックと建物の雰囲気が会場内を静謐なものにし、開演への期待感が満ちてくる頃、BGMが落ち、会場が仄かに暗く鳴ると、サポートメンバーの山本隆二(Pf/Key)・設楽博臣(Gt)2人がステージに登場。それに続くように笹川がステージへ。

拍手が鳴り止み、「星の船」で静かに幕を開け、艶と透明感のある歌声で会場をやさしく包み込む。来場者に笹川から挨拶があり、その後、小雨が降ったり止んだりの当日の天気にぴったりの「晴れてくるだろう」、颯爽としたギターのストロークと穏やかに跳ねるピアノの上で「緑の絨毯」を歌い上げたのち、Kan Sanoプロデュースの「高鳴り」で軽やかに胸の高鳴りを表現。

続くMCではサポートメンバー2人を紹介。“令和になった瞬間に何をしてたか”をそれぞれに聞くが、設楽からは「覚えていない」、山本からは「寝てました」という返答に笹川が肩を落とす場面も。

そしてここから、大橋トリオ楽曲提供による「紫陽花」、流麗な「蓮華の花」「流れ星」と続いて、「亡者」「咎」と徐々に笹川美和の深みを会場に響かせて行った。

新たにフェス出演の決定や、久しぶりとなる新潟でのワンマンライブ開催、昨年に引き続きプラネタリウムでのライブ開催など嬉しい発表があり、サポートピアニストの山本隆二が席を立ち、笹川がピアノの前に座り、彼女が12歳の時に生まれて初めて作った曲であり、昨年リリースしたベスト盤「豊穣 -BEST’03〜‘18」にも“2018Ver.”としてリテイクが収録された「向日葵」を、ギターの設楽博臣との2人編成でしっとりと披露。

再び山本隆二を招き入れ、笹川のデビュー曲であり、代名詞とも言える「笑」を、この15年で経験してきた事を思い返すように大切に奏でると、西田大輔による舞台「野球」のテーマソング「蝉時雨」を夏の持つ郷愁と共に暖かく歌い上げた。

次の曲が最後の曲というMCの後に演奏された本編ラストの「真実の雫」では、音像の浮遊感とは対象的に、しっかりと地に足をつけた歌唱で本編は幕を下ろした。

笹川がステージを去っても鳴り止まない手拍子に応えるように、再びステージに戻るとアンコールとしてハナレグミのカバー「家族の風景」をピアノ弾き語りで披露。サポートメンバーの2人を再び迎え入れ“確かなことは 歌がサンクチュアリ” と、笹川自身にとって“歌う”という行為が、何者にも侵されない聖域である事を高らかに宣言した「サンクチュアリ」という2曲でアンコールは大団円を迎えた。

昨年15周年を迎え、新たな気持ちで迎える16年目の笹川美和サウンドは、15年の経験を持ちながらも、更に進化していく意思と期待に満ちたものだった。

photo by. shiori nakamura

「笹川美和 Concert 2019 〜薄暑に鳴る笹の葉音〜」2019年6月29日 自由学園 明日館 セットリスト

星の船
晴れてくるだろう
緑の絨毯
高鳴り
紫陽花
蓮華の花
流れ星
亡者

向日葵

蝉時雨
真実の雫
<アンコール>
家族の風景(笹)
サンクチュアリ

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