「100縁翔店街」どう生かす 川棚・栄町 開催数減らす 定着した一方、収益面で課題

子連れ客などでにぎわった100縁翔店街=川棚町、栄町商店街

 長崎県東彼川棚町の中心部、栄町商店街が2011年から取り組んでいる「100縁翔店街」は、本年度から年3回から年2回に減る。毎回一定のにぎわいを生み、恒例行事として定着した一方で、期待された商店街の活性化や店舗の収益増に結び付いていない課題も出てきた。「選択と集中」を意識した見直しで、イベントの集客力を生かす方法を模索している。

 6月15日。“令和最初”の100縁翔店街には54店舗が参加した。趣向をこらしたサービスや商品を100円で提供。買い物客を呼び込んだ。来店者の多くは小中学生で、店頭でお菓子のつかみ取りやゲームなどを楽しんだが、店内に入る人は少ない。ある店主は「正直もうけにはならない」と苦笑い。「それでも定期的に人が集まる催しはあったほうがいい」と強調する。

 商店街は、JR川棚駅前を起点に、国道の両側に商店が並んでいるが、近年はシャッターが閉まったままの店や空き店舗が目立つ。衰退に歯止めをかける起爆剤として浮上したのが山形県新庄市の成功例で注目を集めていた「100円商店街」だった。

 初回は75店舗が参加し、「県内最大級」を打ち出した。それから毎年2、6、10月と4カ月に1回のペースで続けたが、参加店舗は徐々に減少。不参加の理由は「コストに対してメリットが少ない」、「スタッフの確保が難しい」などが挙がるという。主催する「かわたな栄町集栄会」の山口雄一郎実行委員長は「『安くしなくては』という意識も店側の負担になっている。本当はただの値引きセールではないのだが、来店者にもうまく趣旨が伝わっていない」と頭を抱える。

 先進地、新庄市のNPO法人アンプによると、全国で「100円商店街」に取り組むのは約130自治体330商店街に及ぶ。だが一過性に終わり、継続できなかったケースもあるという。「100円の商品・サービスはあくまでツール。商店街そのものの価値を売り出す熱意がなければ続かない」と指摘する。

 集栄会は店側の負担軽減のため、本年度から2月に開くのをやめ、出店料も下げた。山口実行委員長は「100円を入り口に商店街の魅力を知ってもらおうという原点に戻り、各店舗がブランド化や価値づくりを考えていく必要がある」と語る。

かわたな栄町100縁翔店街参加店舗の推移

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