バリアフリーな海水浴場に 鎌倉・由比ガ浜で海開き

海の家事業者らが手作りし、海の家同士をつなげた木製ボードの遊歩道=由比ガ浜海水浴場

 鎌倉市の由比ガ浜海水浴場が1日海開きをし、県内初の「バリアフリービーチ」がオープンした。県、市、由比ガ浜茶亭組合が連携し、車椅子利用者が通行できるよう木製ボードなどを設置したほか、土日・祝日にはライフセーバーが障害者をサポートする介助員の役目も担う。関係者は「多くの障害者と一緒に夏の海を満喫したい」と話している。開設期間は8月31日まで。

 約20の海の家と2カ所のトイレは、同組合が手作りした木製ボード(約800メートル)でつないだ。同組合や市が2016年から取り組む、一部の海の家へのスロープ設置や浮きの付いた水陸両用車椅子の貸し出しも続ける。また土日・祝日には監視所で待機するライフセーバーらが介助員として障害者の移動などを手伝う。

 県は今後、海岸沿いの歩道から砂浜までにスロープを設置し、砂浜から波打ち際までにマットを敷く予定で、その関係費用を計上した19年度一般会計補正予算案を県議会第2回定例会に提出している。

 バリアフリービーチの発起人となったのは、障害者サーフィン世界選手権で2連覇を達成した内田一音さん(47)=同市。

 選手権の会場となった米国など海外では、砂浜までマットが敷かれるなど、健常者だけでなく、障害者も一緒に海を満喫できる環境が当たり前のように整備されていた。目の当たりにした内田さんが「日本でも取り入れたい」と願い、行政や海の家事業者などに働き掛けた。同日に由比ガ浜海水浴場で開かれた式典で、あいさつに立った内田さんは「皆さんの協力に感謝。今後も継続し、障害のある方に遊びに来てもらえたら」と誕生を喜んだ。

 ボードウォークや貸し出しのマットを体験した車椅子での利用者(42)=都内=は「砂浜を散策できる感覚は今までになく楽しい。車椅子でも海に来やすい環境があると広め、障害者のニーズを伝えたい」と笑顔で話した。

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