女子ゴルフ世界ランキング5位の20歳の精鋭・畑岡奈紗選手

女子ゴルフ世界ランキング5位の20歳の精鋭・畑岡奈紗選手

黄金の翼で、世界に羽ばたく

「NASA」のように“前人未到のことをするように”と思いを込めて「奈紗」と名付けられた。実際に前人未到の記録を作り、黄金世代と言われる国内選手の中でも一際輝きを放つ。世界で戦う彼女の五輪への思いとは?

現在、国内女子ゴルフをʼ98年度生まれの黄金世代が席巻している。その黄金世代の1人で、世界最高峰のLPGA女子ゴルフツアー(米国ツアー)で活躍するのが畑岡奈紗。ʼ16年、国内女子ゴルフのメジャー大会の一つ、日本女子オープンで史上初のアマチュア優勝、17歳263日での史上最年少優勝など、記録づくめの優勝で頭角を現した。

「アマチュアとしてプロの大会に出場した回数が少なかったので、優勝よりは楽しくラウンドすることを目指していました。優勝を意識したのは、最終日の残り何ホールだけでしたね。あまり意識せずに自分らしくプレーできたのが良かったと思います。優勝が決まった瞬間は、頭が真っ白になってよく覚えていないのですが、母と抱き合って喜んだのは覚えています」

アマチュアがプロの大会で優勝すると、プロテストを受けずしてプロ転向の資格を得られる。前人未踏の快挙を成し遂げた畑岡は、迷わずプロ転向を決断。

「女子の場合は、大学に行かずに高校を卒業してプロを目指すことが多いです。その時は高校3年生だったので、プロになる決断はすぐにしました」

本格的なプロ初シーズンとなったʼ17年は、米国ツアーを主戦場に。国内ツアーで力をつけてから米国ツアーに挑む一般的な道ではなく、新たな道を切り拓く選択をした。その選択の裏には、東京五輪への思いがあった。

「プロ生活自体が初めてなのに、1年目からアメリカに行ったこともあって、慣れない環境に戸惑いました。ですが、やはり自分の中で東京五輪が大きかったです。アメリカで成績を残せれば、世界ランキングを上げられるので、アメリカに行った方がいいと思いました」

東京五輪の出場者は世界ランキングを基に決まる。世界最高峰の米国ツアーだと、ランキングに影響するポイントが多く稼げる。ʼ17年こそ苦戦したが、ʼ18年は米国ツアーで2勝、ʼ19年はすでに1勝を挙げ、世界ランキングは5位(6月25日現在)。東京五輪出場が有力に。

「地元開催の五輪に選手として出場できるのは一生に一度のチャンスだと思うので、特別な思いがあります。リオ五輪で表彰台に上がったのは韓国の朴仁妃、ニュージーランドのリディア・コ、中国のフォン シャンシャンでした。リディアの両親は韓国の方ですし、アジアゆかりの選手ばかりだったので、テレビで見ていてʼ20年は日本の国旗を掲げたいと思いました」

ゴルフの世界では、米国ツアーのメジャーが最高のタイトル。ʼ77年の樋口久子以来となる、日本人のメジャー制覇も目指す。

「小さい時はテレビでゴルフを見るほうではなくて、見るとしても国内ツアーのほうが多かったです。でも、米国ツアーに出場するようになると、メジャーの重みを感じますね。実際に何度かプレーして、総合力がないと勝てないと思いました。普段の試合よりコースセッティングが難しくて、簡単にボギーとかが出てしまいますが、それでも気持ちを切り替えて次の一打に集中できるかが、メジャーでは特に大事だと思います」

メジャー5大会の内、今季残されているのは2大会。7月25~28日にエビアン選手権、8月1~4日にAIG全英女子オープンがあり、米国ツアーだがいずれも欧州で開催される。

「2週連続でメジャーが続くのでピークを持っていくのは難しいですが、それでも持っていかないといけません。あと、アメリカと欧州ではコースのタイプが違うので、攻め方も変えないといけないですね。アメリカは上から落とすとボールが止まるんですが、欧州は地面が硬いので止まらないんです。全く違うゴルフになると思います」

世界のトップ選手が集う米国ツアーでの戦いは厳しいが、充実した日々を過ごしている。

「すばらしい選手がたくさんいて、そこで戦えているのは幸せですね。私が英語をあまりしゃべれない中でも、お互いに伝え合えていると思いますし、一緒にプレーしてすごく楽しいです。名前の由来を細かくは説明できないですけど(笑)、“NASA”という名前は覚えてもらいやすいので、良い名前を付けてもらったと思います。国旗はウエアに付けていませんが、日本を代表してプレーをしている気持ちもあります」

東京五輪では、実際に日の丸を付けての活躍に期待がかかる。

「世界ランキング1位で出場できたら自信になると思うので、1位を目指して、まずは今年1年精いっぱいプレーしたいです。東京五輪に出場できたら、日本語の応援はとても心強いので、応援を力に変えて頑張ります!」

【TVガイドからQuestion】

Q1 印象に残っているスポーツ名場面を教えて!

野球をやっていたこともあって、先日引退されたイチロー選手にはいろんな感動をもらいました。特に(’09年の)WBCで、それまで調子が悪かったイチロー選手がヒットを打って、韓国に勝って優勝した場面はよく覚えています。

Q2 好きなTV番組/音楽(応援歌)を教えて!

テレビ番組は「VS嵐」(フジテレビ系)が好きです。出演したい気持ちは…緊張するので見ている方がいいですね(笑)。タレントさんとゴルフで対決する番組もいいですね。音楽は嵐の「Happiness」を移動中に聞いたりしています。

Q3 “2020”にちなんで、“20”年間生きてきて一番感動したことを教えて!

四つ違いの妹が生まれたことですね。お姉ちゃんになるのがうれしかったです。子どもの頃はよくけんかもしていましたが(笑)。私と母がアメリカに行っているので、父と日本にいて家事をやってくれているので感謝しています。

ゴルフ競技概要


クラブで静止したボールを打ち、直径108mmの穴(カップ)に、いかに少ない打数で入れられるかを競う。1900年パリ五輪、1904年セントルイス五輪で2回開催された後、五輪競技から外れていたが、’16年のリオ五輪で112年ぶりに復活した。東京五輪には、世界ランキングを基に男女それぞれ60名が出場し、18ホールを4日間で4回ラウンドする。ホールごとに特徴が異なるため、状況に応じた攻略法とメンタルの強さが勝敗を分けるポイントになる。

【プロフィール】


畑岡奈紗(はたおか なさ)
1999年1月13日茨城県生まれ。山羊座。A型。

▶︎ゴルフ場に勤める母の影響で11歳から本格的にゴルフを始める。多くのプロよりも始めるのが遅く、「小学6年生での初めての試合は、下から数えた方が早かった」という。
▶︎ジュニア時代は「たくさん勝てた選手ではなかったので、ただただ練習しました」と語り、着実に実力を付けて’15年にアメリカで開催された世界ジュニアゴルフ選手権で優勝。「初めてアメリカに行って、アメリカのゴルフを体験して米国ツアーを目指したいと思いました」と、米国ツアー挑戦のきっかけに。
▶︎’16年に日本女子オープンでアマチュア優勝を果たし、プロ転向。’17年には米国ツアーに挑戦。「持ち味は飛距離で、アプローチも得意」という自らの武器を生かし、世界と戦う。’18年には2勝、’19年に1勝を挙げ、世界ランキング5位につける(6月25日現在)。

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取材・文/山木敦 撮影/亀井重郎 撮影協力/友部ゴルフガーデン

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