クアルタラロ、MotoGPオランダGPで腕の状態に苦戦しながら一時はトップ走行。「すばらしい瞬間だった」

 MotoGPクラスのルーキー、ファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)が躍進を続けている。MotoGP第8戦オランダGPでは2戦連続3度目のポールポジションを獲得し、決勝レースでは3位を獲得。決勝レースでは、手術した右前腕の痛みに苦しみながらの表彰台獲得だったのだ。

 クアルタラロはオランダGPの初日から好調だった。初日のフリー走行1回目でトップ、そしてフリー走行3回目ではオールタイムラップ・レコードを更新するタイムでトップにつける。さらに予選Q2では自身のオールタイムラップ・レコードを更新してポールポジションを獲得。前戦カタルーニャGPで2位表彰台を獲得した勢いはアッセンでも続いた。

 決勝レースで、クアルタラロはスタートで後方に下がるもトップを走行中のアレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)が3周目に転倒するとレースリーダーとなり、マーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)を従えて16周目まで先頭を守り続けた。

「レースをリードしたときには、僕の人生のなかでもすばらしい瞬間だった。子供のころに見ていた(MotoGPという)レースで、トップを走ることができたんだ」

 クアルタラロはトップを走ることができたよろこびをそう語る。これまで3度のポールポジションを獲得してきたクアルタラロだったが、MotoGPクラスの決勝レースでトップを走り続けるのは初めての経験だった。

マルケス、ビニャーレスを後方に、序盤から中盤にかけてトップを走行したクアルタラロ

 しかし一方で、その座を長く保つことはできないとわかっていたという。クアルタラロはカタルーニャGP前に右前腕の腕上がりの手術を受けた。完治していないそれが、レースに影響したのだ。

「(ビニャーレス、マルケスに)オーバーテイクされたあとは、腕の問題もあって、どうすることもできないとわかっていた。後ろは離れていたから、レースを走りきり、表彰台を獲得することを選んだんだ。腕の状態にはひどく悩まされた。コースにはバンプがあり、風も強かった。風のせいでマシンが激しく振られてしまったんだ」

 クアルタラロはビニャーレスとマルケスに交わされ3番手に後退すると、ふたりからは引き離され、単独走行。それでも4番手以下に追随を許すことなく、3位でチェッカーを受けた。パルクフェルメでは、右腕を抑えてアイシングするクアルタラロの姿があった。

「(カタルーニャGPに続いて)また表彰台を獲得することができた。昨日はポールポジションも獲得した。これ以上、うれしいことはないよ。(開幕戦の)カタールGP時点では、(2019年シーズンの)目標は、たくさんのレースでトップ10以内でチェッカーを受けることだった。けれど、少しずつ、その目標は上方修正していっている」

 最高峰クラスのルーキーであるクアルタラロが予選や決勝レースで上位を走ることは、すでに自然な状況になりつつある。オランダGPで右腕の状態に苦戦しながらも3位を獲得した結果が、クアルタラロのこれからの可能性を示唆していると言えるだろう。

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