松田聖子も選んだロビー・ネヴィル、決して「セ・ラ・ヴィ」だけじゃない!

共有感満載の80年代洋楽ヒット! ビルボード最高位2位の妙味 vol.62
C'est La Vie / Robbie Nevil

ポップミュージックの歴史の中でも、特に1970年代以降、“男性ソロ・シンガー(ソングライター)” のスターは常に存在している。ポップを基盤としたニール・ダイアモンド、バリー・マニロウ、ビリー・ジョエル等、ロックを基盤としたロッド・スチュワート、ブライアン・アダムス等、R&Bを基盤としたマイケル・ジャクソン、ライオネル・リッチー、プリンス等が挙げられるだろう。

80年代後半、次世代の男性ソロ・シンガーとして台頭したリチャード・マークスやキース・スウェットらに先駆けてブレイクした男性ソロ・シンガーソングライターこそが、ロビー・ネヴィルだ。

彼のデビュー曲にして、最大ヒットとなったのが、80年代60番目に誕生したナンバー2ソング「セ・ラ・ヴィ(C'est La Vie)」(87年1月2週2位)!

“これが人生、人生ってこんなものさ” と歌う、ある意味前向きな諦観ソングともいえる大ヒット曲。ポインター・シスターズやアース・ウィンド&ファイヤーらに楽曲提供して名を馳せたロビーだけに、R&B をベースとした絶妙なポップ感覚があふれ出ている。

チープシックな打ち込みでコンテンポラリー感満載なトラックを施したプロデューサー、アレックス・サドキン(デュラン・デュラン、シンプリー・レッド等)の手腕も大きいか。イケメン、ロビーがかっこつけて歌ってるという側面もあるが、どちらかというと楽曲自体の良さ、ヒット・ポテンシャルの高さで、結構大きな共有感を得ていると言えるだろう。

そして「セ・ラ・ヴィ」のヒット共有感が突出して大きいので、どうしても “一発ヒット” 屋というイメージがつきまとうが、実はロビーは他にもトップ40ヒットが4曲(うちトップ10が1曲!)もある、立派なヒットメイカーだったのだ。

だからなのかどうかはわからないが、実は松田聖子が2度目の米国進出の際にデュエット相手に選んだのがロビー・ネヴィル! 1996年にリリースされたシングル「I’ll Be There For You」がそれで、残念ながら2度目のヒット・チャート・エントリーは叶わなかった。

そう松田聖子は SEIKO 名義で、ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックのドニー・ウォールバーグとのデュエットシングル「The Right Combination」(90年54位)をかつて全米シングル・チャートにエントリーさせていたのだ。

さすがのロビーも、ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックには敵わなかったということになるのか。いや、こればかりはロビーのせいじゃないよな。

KARL南澤

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