浅川梨奈、秋山ゆずきがW主演! 音楽劇「Zip&Candy」ゲネプロレポート! 「誰一人として欠けることなく駆け抜けたい」

7月4日(木)から音楽劇「Zip&Candy」が俳優座劇場にて上演中だ。 原作は、 鬼才・にしのあきひろ二冊目の絵本として出版された『Zip&Candy』。 それを稀代の劇作家・演出家のなるせゆうせいがアレンジして劇化。 主演は元SUPER☆GIRLSの浅川梨奈と、 大ヒット映画「カメラを止めるな!」のヒロイン・秋山ゆずきがW主演を務める。 二人は全16公演のうち8公演ずつジップ役とキャンディ役を演じ分ける。

そんな舞台のゲネプロが初日前に行われ、 囲み取材も合わせて行われた。 なお、 ゲネプロはジップ役に浅川梨奈、 キャンディ役に秋山ゆずき。 まず、 囲み取材が催され、 登壇したのは、 浅川梨奈、 秋山ゆずき、 校條拳太朗、 米原幸佑の4名。

自身の役どころを尋ねられ、 浅川梨奈は「ジップはカレルヤ博士(緒月遠麻)のとある想いで作られた最新型のロボットです。 舞台では、 原作にはないジップの誕生秘話も描かれているので楽しみにしてください。 ジップはわがままで横暴な男の子で、 台詞にあるように“生まれたての子供”のような感じかな(笑)」と笑顔で語った。 キャンディ役の秋山ゆずきは「キャンディはジップとは正反対の旧型のロボットで、 ある理由で外の世界を知らないまま過ごしている、 原作の絵本に忠実な役柄だと思います。 音楽劇ということで、 歌詞はそれぞれのキャラクターの物語を歌っているので、 音楽を堪能していただきながら舞台を観るとよりいっそう楽しめると思います」と語った。 ステイ区長の校條拳太朗は「みんなが暮らしている土星で、 日々、 治安維持に努めています。 ロボットと人間が共存している時代設定ですが、 その理想を求め続けているキャラクターです」と述べ、 ビン役の米原幸佑は「貧民街の孤児で、 妹のカン(西田薫子)と、 お父さんの脳を犬に移植したペットボトル(中村翼)の三人でみなしご窃盗団を結成しています。 三人の愛のあるチームワークに注目してください」と語った。

最後に見どころを尋ねられ、 米原幸佑は「絵本が原作なので、 お子さんが観てもわかりやすく、 スッと物語に入っていけるので、 親子連れで観に来ていただければ嬉しいです」と語り、 校條拳太朗は「原作の『Zip&Candy』という絵本の素敵な世界観が舞台でもしっかりと描かれています。 原作を好きな方も、 初めて観ていただける方も舞台を好きになることができると思います」と述べ、 秋山ゆずきは「絵本以外にも、 今作だけの新しい登場人物がいて、 たくさんの推しキャラクターに満ちているので、 お気に入りのキャラを見つけてください(笑)。 観終わったら、 気持ちがほっこりできるように頑張ります」と意気込んだ。

最後に、 浅川梨奈は「心の温まる作品で、 歌も踊りもあり、 キャラクターは個性豊かで、 稽古場から私たちもワクワクしていたので、 お客様にも、 ステージ上の楽しさが伝われば嬉しいです。 全16公演、 誰一人として欠けることなく駆け抜けたいと思います」と語り、 囲み取材は終了した。

物語は、 地球から約14億キロ離れているという土星が舞台。 ある日、 カレルヤ博士と助手コケル(あまりかなり)の手によって誕生した最新鋭のロボットのジップ。 けれど彼は心が気薄で、 みんなの手を焼かせるやんちゃな男の子だ。 特技はライト(加藤凛太郎)とレフト(松村泰一郎)という左右の翼を操り空をどこまでも飛んでいくこと。 ある日、 ジップが空を飛んでいると、 みなしご窃盗団に撃ち落とされてしまう。 彼らが墜落した町を彷徨ってたどり着いたのはサンドイッチ博士(星田英利)の研究所。 そこでキャンディという旧型のロボットに出会う。 その研究所から一歩も出たことがないキャンディのため、 ジップは彼女を外の世界に連れ出したものの……。

今作は少年・少女の「ボーイ・ミーツ・ガール」のお話とも言える。 大切なあなたに出会った時に抱く愛おしさが舞台に詰まっている。 さらに笑いのツボを押さえまくった物語展開は、 演出のなるせゆうせいのなせる技だろう。 どのキャラクターも底抜けに明るく、 ギャグあり、 恋あり、 失恋あり、 涙あり、 たとえどんなに辛い今日が待っていても、 明日のために強く生きることだけは忘れていない、 そんなキャラクターたちが舞台を駆け巡る。

元スパガの浅川梨奈の野蛮な性格の少年ロボットがキャンディと触れ合って心を手に入れていく演技、 そして朗々と歌い上げる美しい声。 若干20歳の女優がシーンの細部にわたってキラメキを見せる芝居をすれば、 「カメ止め」で卓抜な演技を披露した秋山ゆずきは、 カクカクしたロボット然とした演技を自在に操りながら、 純粋無垢な少女を闊達に演じて答えてみせる。 二人ともイキイキしながら手を取り合って舞台上で生きている。 まるで初恋をしている少年・少女のように。 まさにW主演の見どころが満載の舞台となっている。

登場人物たちは、 みんな少しだけ何かが欠けている。 けれど、 それを優しさで補いあって、 お互いがいたわり合って生きることの大切さを今作は教えてくれる。 真夏に贈るクリスマスの奇跡を描いた心温まるファンタジーだ。 公演は7月14日(日)まで。

(文・写真/竹下 力)

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