盛り土への開発許可巡り、住民提訴 横浜・戸塚の研究拠点

横浜地裁

 医薬品大手「中外製薬」(東京都中央区)が横浜市戸塚区で計画している研究拠点施設の建設を巡り、近隣住民8人が5日、予定地に盛り土をすると周辺住宅の浸水の危険性を増大させるとして、市に開発許可を出さないよう求める訴訟を横浜地裁に起こした。

 訴えによると、建設予定地(約8万平方メートル)は日立製作所の旧戸塚事業所跡地で、柏尾川沿いに立地。約7割に盛り土を施して地盤を最大2メートルかさ上げし、研究棟など7棟を建てる。

 原告側は、予定地北側エリアはかねて洪水の危険性が指摘されている低地のため、盛り土をすることで河川からあふれ出た水や雨水が一層たまりやすくなると主張。施設に設置予定の雨水流出制御槽の排水能力では対応しきれず、盛り土以外の工法に切り替えるよう求めている。

 提訴後、原告代表の女性(60)は「ひとたび浸水すればその後の処理が大変。想定されている被害をさらに大きくするようなことはやめてほしい」と話した。市は「訴状が届いておらず、コメントできない」、同社は「詳細を把握していないので、今の時点ではコメントを差し控えたい」としている。

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