若手経営者の「農サポ」 所得向上へ出荷効率化  負担軽減、情報を随時提供 長崎県立大生も調査参加

「農サポ」の野菜が並ぶ売り場で、担当者から話を聞く県立大の学生=佐世保市三浦町、エレナえきマチ1丁目店

 若手経営者でつくる佐世保地方創生プロジェクトチームの次世代につなぐ第一次産業委員会は、集荷ビジネス「農サポ」を佐世保市内を中心に展開している。小規模農業者の出荷の負担を軽減し、売り上げ情報を適宜提供するようにした。業務効率化を図り、所得向上につなげる狙い。県立大の学生も参加し、若者の視点で事業発展を考えている。
 農業者は個人的にスーパーなどに出荷する際、店舗巡りに多くの時間を費やしていた。しかもどの農産物がいくつ売れたかの情報を把握できないことが多かった。こうした課題を解消し、生産に集中してもらおうと、2017年11月にスタートした。
 運送の負担を減らすため、近隣の農協の施設を活用。袋詰めして価格を決めた農作物を集荷し、運んでいる。販売したい場所を指定でき、少量や規格外の物も認めている。現在、スーパーのエレナ(佐世保市)など、市内外8カ所に出荷。売り上げ情報は、生産者にメールで随時送信し、価格や出荷数を決める際の参考にしてもらう。
 参加する農業者からは「半日以上かかっていた出荷が楽になった」「すぐ畑に戻って作業ができる」と評価の声が上がる。28人だった登録者は現在100人。今年4月の販売点数は前年同月比64%増、販売額は197万円で前年同月の約2倍になった。
 県立大経営学部経営学科の3年生26人は4月から科目の一環で参加。「生産者」「販売店」「システム」の3分野に分かれ、事業に協力している。
 このうち、販売店のチームは、農サポの商品を取り扱うスーパーに出向き、売り場担当者から現状の説明を聞き、買い物客にアンケートをして改善点を探っている。春原健汰さん(20)は、店内に並ぶほかの野菜との差別化が課題とみる。「『農サポ』と掲げるだけでは、強みが消費者に伝わりにくい。ニーズ把握も必要」と話した。
 副委員長で、エレナの中村義昭常務は「売れるためにはどうしたらいいか、もっと生産者にも考えてもらいたかった。一過性ではなく、農業を成長産業とするために事業展開を考えたい」と語った。

© 株式会社長崎新聞社