1位現職2位新人も 最低投票率に表情晴れず 厚木市議選

7日投開票の厚木市議選でトップ当選を果たした難波さん=同市下荻野

 7日投開票された厚木市議選は現職21人全員が再選し、その強みを発揮したほか、新人が2位の得票数で初当選を果たす躍進もあった。市政を導く任を託された各当選者は一様に気を引き締めるものの、過去最低の投票率には表情は晴れない。有権者の関心を高めるために、同じ年の2月にある市長選と日程を合わせる考えも一部からは聞こえてくるが、任期に関わるだけに簡単に進みそうにない。

 「思わぬ得票をいただき重く受け止めている。おごることなく、今後も自分らしくやっていきたい」。投開票から一夜明けた8日早朝、トップで4選を決めた自民党現職の難波達哉さん(46)は自分に言い聞かせるように語った。

 4390票は、2000年以降にあった過去4回の市議選を通じても最多。県議秘書時代から培った人脈を生かしたほか、少子高齢化といった社会構造の変化に応じた地域福祉の充実などの訴えも浸透させた。

 得票数2位の3282票で初当選したのは、前回に続いて2度目の挑戦だった立憲民主党新人の高田昌慶さん(31)だ。

 今回の候補者の中で最年少の高田さん。障害児らが通う福祉施設代表としての経験を踏まえた政策を掲げた。「福祉の現場の思いを政治に反映させたい」とあらためて決意を語った。

 ただ、過去最低の38.46%に終わった投票率や市制施行後で最少となった候補者数の話になると、2人は顔を曇らせる。

 「立候補や投票率が低調だったのは残念。地域の皆さんにもっと関心を持ってもらえるように取り組んでいく」と難波さん。高田さんも投票率について「市政課題の一つと捉える。30代の私を通し、若い世代に市政を身近なものにしていきたい」と述べた。

 厚木市では統一地方選が実施される年の2月に市長選、7月に市議選がある。さらに今年は参院選が重なる12年に1度の「亥(い)年選挙」。関係者の間では有権者の「選挙疲れ」が投票率の低さにつながるのではと懸念されていた。

 投票率の向上や経費削減などの観点から、2月の市長選と統一しようとの声も一部にはある。しかし、議員の権利に関係するだけに全会一致が求められ、困難が多く実現に至っていない。

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