原発政策巡り、旧民進分裂2党が攻防 神奈川県議会

国民民主党系会派が提出した意見書を賛成多数で可決した本会議=8日午後、県議会

 原発政策に絡め攻防-。県議会で8日、再生可能エネルギー普及を目指す意見書案を巡り、旧民進党から分裂した2党の温度差が表面化する場面があった。立憲民主党系会派が「原発廃止」を明記したのに対し、国民民主党系会派は「原発に依存しない」とする対案を提出。本会議の採決は、国政で対決する自民、公明の両会派が国民の主張に賛同する「前代未聞の展開」(県議)で決着した。

 立民の意見書案は、東日本大震災を受けたドイツの原発停止計画などを引き合いに「原発廃止」を主張。これに対し、国民は県のエネルギー計画に基づく「原発に依存しない社会を目指す」との表現で分散型電源への転換を訴えた。いずれも再生エネの普及・拡大を国に求める内容だが、採決を巡る攻防は各党の思惑が絡み合う経過をたどった。

 折しも参院選の真っ最中。公約に「原発ゼロの実現」を掲げる立民と、大手電力会社の労働組合「電力総連」の組織内候補を抱える国民とで、それぞれの立場が鮮明になった格好だ。

 県議会では4月の県議選で先鋭化した立民対国民の争い、知事選で黒岩祐治知事の推薦を巡る「県政与野党」の確執も尾を引く。今回は“反立民”で一致する自公を取り込んだ国民が、「数の力」で可決に持ち込んだ形。共産党の賛同を得たものの、否決された立民の県議は「原発ノーと言えるのはわれわれだけだ」と語った。

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