[シュウ・コバヤシのDRONE MANIA]Vol.01 3Dプリンターで広がるドローンの世界。3Dプリンター工夫編

ドローンとDIY

ドローンに携わって7年になりましたが、最近なにかちょっとさみしい。そんな感覚があるのです。理由はそう、機体の組み立てがなくなったのです。DJI製のPhantomシリーズが発売される前は買ってきてすぐ飛ばせるドローンというものは少なかったです。

フレーム、モーター、ESC、フライトコントローラーを選定し、各パーツの搭載、配線をハンダ付け、ESCとフライトコントローラーの各種設定をし、ようやく飛ばせる状態になります。それでもすんなり飛ぶとは限りません。設定が間違っていたり、配線が間違っていたり、そもそもモータとESCの選定が良くなかったり、色々な要因で苦労したこともありました。ドローンはDIYが前提でした。

現在一般的なドローンはそんな苦労は必要ありませんし、小型なドローンであっても4Kでの映像が撮れてしまう高性能なカメラが搭載れており、更にそのカメラの揺れを軽減するジンバルまで組み込まれています。

業務として使うには組み立て式のものより、完成品のほうが組み立てミスや、配線の不十分さによる事故が減るので正常な進化だと思いますし、一般的には手間が少ないほうが良いと思います。ですが、組み立てがなくなり、製品の完成度が上がるにつれ手を入れる部分がどんどんなくなってきており、いじれる部分が少なくなりちょっとさみしいのです。

まだまだ工夫できる

ではまったくなにもいじる部分がないかというと、そうでもありません。ドローンを扱う上でちょっと工夫すると便利になる部分というのが存在します。その中で今回は3Dプリンターを利用したものをいくつかご紹介します。

バッテリー交換ツール

まず、この円筒形の部品が何だかわかりますでしょうか?

答えはDJI製INSPIRE2のバッテリーを1つずつ交換するためのツールです。INSPIRE2のバッテリーは2個搭載されていて、バッテリーを外すボタンは内側と外側で2重構造になっており、外側を押すと右側のバッテリーが、内側のボタンを押すと左側のバッテリーだけを外せるようになっています。

そうして1本ずつ交換することによって機体の電源を切ることなくバッテリー交換ができます。一旦電源を切ってしまうと、再度電源を入れた際にウォーミングアップやコントローラーとの接続に時間がかかってしまい撮影のタイミングを逃してしまうのを防ぐことができます。

ただし、このボタンは私の指が太いせいだけではなく、内側がすごく細くて指で押せないのです。そこでこのツールが役立つのです。設計5分、プリントに15分ほどで製作できます。

※このようなバッテリー交換方法は正式に対応している方法ではありません。自己責任でお願いいたします。

モニターブラケット

またもうひとつ、このへんてこな部品は何だかわかりますでしょうか?

答えはDJI製MAVIC2シリーズに同じくDJI製のCRYSTALSKYモニターを搭載しつつストラップをつけられるようにするパーツです。 CRYSTALSKY用のブラケットはMAVIC/SPARK用しか出ておらず、なおかつグリップを畳んだ状態になってしまい持ちにくいのでこのような形になりました。更に重くなりますのでストラップを使い重さを首と手で分散しようという考えです。

サードパーティーからも色々製品化されていますので作らなくてもなんとかなるものではありますが。

色々な活用方法

その他RONIN-MXに一眼レフ用のリモートコントロールユニット載せたり、バイクヘルメット用の無線機をヘッドホン用にしたりといろいろ活用しております。最近は3Dプリンターも安価で性能の良いものも出てきました。プリントするための元となるCADデータもフリーソフトで作ることもできますし、世界中の人々が設計したデータを共有しているウェブサイトもあります。

なにか作るための敷居は年々下がってきている気がします。ちょっとした部品を作って便利になるよう工夫しようとすることがまだまだあります。さて、次は何を作ろうかしら。

© 株式会社プロニュース