梅雨明けが待ち遠しい“好山病”発症中のあなたに!雨でも登りやすい山【西日本編】 遂に西日本も梅雨入りし、本格的な雨のシーズンとなりました。雨が降っていると、家から出るのもちょっと億劫になりますよね。ましてや梅雨時期の山登りとなると、晴天の山登りより危険度も増えるから出掛けにくい!なんて方も。ここで、“好山病”の症状が出ている山好きのみなさんに朗報です。初級者向けの梅雨の山の美しさに心惹かれる西日本の山で、梅雨のモヤモヤを晴らしましょう!

梅雨真っ最中の西日本!梅雨明けはいつごろ?

とうとうこの時期が来てしまいましたね。2019年の西日本の梅雨入りは平年通りとはいかず、全体的に遅い梅雨入りとなりました。梅雨前線の北上が平年より遅く、梅雨明けも遅くなりそうな予想です。2018年の早い梅雨明けに2019年の遅い梅雨入り。”異例”続きの気候で日常生活や趣味にも影響がでてきますが、ケースバイケースで応じていかなくてはいけませんね。

でも山に行けないなんてもう無理!何とかしたい

”毎年恒例の梅雨。やまない雨はない!”と分かっていても、イヤなものは嫌。梅雨の晴れ間を期待して登山計画を立てても、天気がずれ込んで雨予報に・・・。何もない梅雨の休日は、一日終わるのが長~く感じてしまいます。山に行きたくてウズウズする好山病の症状、何とかしたいですよね。

好山病からのフラストレーションは、やはり”山”で!

北アルプスや八ヶ岳など、国内のメジャーな山は東日本に集中していますが、西日本にも魅力的な山がたくさんあるんです!しっとりと艶やかな森の中は、樹木の葉が輝き草花は活き活きしています。好山病の症状をエスカレートさせないためにも、一歩外に出掛けてみましょう。

“好山病”の窮地を救う山情報

”幻想的、神秘的、神々しい”。梅雨の山だからこそ、晴天とは一味違うシーンに感動できます。それでは、コースタイム5時間以内で歩ける6座を見てみましょう。

①倶留尊山(1038m)|三重県・奈良県

  • 標高: 1038m
  • 所在地: 三重県津市、奈良県宇陀郡曽爾村
  • 最高気温(6月-8月): 23.6℃
  • 最低気温(6月-8月): 13.8℃

倶留尊山は、三重県と奈良県にまたがる高見山地のうちの1座。そして倶留尊山と曽爾高原は室生赤目青山国定公園に指定され、曽爾高原の平坦地はなんと東京ドーム約8個分(約38ヘクタール)の大きさ!コース内の二本ボソより先は私有地のため、入山料500円が必要です。

おすすめコース:曽爾高原駐車場(43分、※推定値)→亀山峠(25分)→二本ボソ(25分)→倶留尊山(20分)
※下りは来た道を戻ります
コースタイムと距離:2時間37分/4.8km

<一面に広がる広大な緑は圧巻>

(7月中旬・曽爾高原)

広大な曽爾高原は、春は野焼き・秋は黄金色のススキに覆われ、多くの人で賑わいます。ハイシーズンは秋ですが、夏の曽爾高原も素晴らしい景色ですよ!

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②剣山(1955m)|徳島県

(7月上旬・左の次郎笈と右の剣山)
  • 標高: 1955m
  • 所在地: 徳島県三好市・美馬市・那賀郡
  • 最高気温(6月-8月): 18.4℃
  • 最低気温(6月-8月): 8.8℃

日本百名山でもある剣山は西日本で2番目に高い山で、別名”太郎岌”とも呼ばれています。この剣山は、「ソロモン王の秘宝が眠っている、ユダヤの三種の神器が隠されている」など、穏やかな山容からは想像もつかないいくつものミステリアスな伝説があると言われているんです。

おすすめコース:リフト西嶋駅(15分)→刀掛の松(35分)→二見展望所(25分)→次郎笈峠(25分)→次郎笈(15分)→次郎笈峠(40分)→剣山(5分)→剣山頂上ヒュッテ(20分)→刀掛の松(10分)→リフト西島駅
コースタイムと距離:3時間10分/5km

<どこまでも続く稜線歩きは爽快>

(7月上旬・次郎笈まで続く稜線)

剣山から次郎岌、そして三嶺までの美しい道のり。絶景を眺めながら開放的な空間を歩く次郎笈までの稜線は、「もっとその先を歩いてみたい」と意欲を掻き立てられます!

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③籾糠山(1744.34m)|岐阜県

(7月下旬)
  • 標高: 1744.34m
  • 所在地: 岐阜県飛騨市・大野郡白川村
  • 最高気温(6月-8月): 19.0℃
  • 最低気温(6月-8月): 10.2℃

手つかずの原生林と湿原が残る籾糠山と周囲の山域は、天生県立自然公園に指定されています。ありのままの森林には多くの野鳥も生息。入山時に森林環境整備推進協力金(500円)が必要です。また、水場で靴底を洗ってから入山しましょう。

おすすめコース:天生峠(40分)→天生湿原(10分)→カラ谷分岐からブナ探勝路(40分)→籾糠分岐(20分)→籾糠山(15分)→籾糠分岐(15分)→木平分岐(13分)→カツラ門(12分)→カラ谷分岐(10分)→天生湿原(30分)→天生峠
コースタイムと距離:3時間25分/7.0km

<天生湿原は高山植物の宝庫>

(7月下旬)

天生湿原は水芭蕉の群生地があることで知られています。そのあと7月はニッコウキスゲやワタスゲが揺らめき、小さな花を咲かせる白い妖精アリドオシランなどもあるんです。

<心身が癒されるグリーンシャワー>

(7月中旬)

いたる所に樹齢約300年以上を越えるトチノキやカツラの巨木がある中、天生湿原を過ぎたところにあるのが”カツラ門”。原生林に囲まれた5本のカツラは力強く根を張り、風格のあるたたずまいです。※原生林は熊の生息地。自身の熊対策はもちろん、山中にある熊除けの一斗缶を利用しながら歩きましょう。

④高千穂峰(1574m)|鹿児島県・宮崎県

  • 標高: 1574m
  • 所在地: 鹿児島県霧島市、宮崎県都城市
  • 最高気温(6月-8月): 20.4℃
  • 最低気温(6月-8月): 12.1℃

霧島連山の第二峰の高千穂峰は、南九州の主要となる景勝地に設けられる霧島錦江湾国立公園に指定されています。霧島連山自体「活火山」。登山道は遊歩道が終わると赤土のザレ場やガレ場などが多く、火口縁が登山道にもなっているので、風向きに注意しながらストック歩行をしましょう。気象庁 新燃岳の活動状況気象庁 硫黄山の活動状況おすすめコース:高千穂河原(72分)→御鉢(50分)→高千穂峰(40分)
※下りは来た道を戻ります
コースタイムと距離:約3時間40分/5.5km

<大地の鼓動を感じる山>

1913年の大噴火により形成された火口の”御鉢”。現在は地形が残らないほど火口はふさがっていますが、直径は約550mで深さが約200mもある御鉢は、間近で大地の息づかいを体感出来ます!

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⑤比婆山(1280m)|広島県

(7月下旬)
  • 標高: 1280m
  • 所在地: 広島県庄原市
  • 最高気温(6月-8月): 21.3℃
  • 最低気温(6月-8月): 12.0℃

国産み後、多くの神を産んだとされる日本神話の女神・イザナミノミコト。比婆山は、そのイザナミノミコトが葬られているとの伝説があります。比婆山には国指定のブナ純林・市指定のイチイ群があるほか、パワースポットとしても有名です。

おすすめコース:公園センター(70分)→毛無山(30分)→出雲峠(50分)→烏帽子山(30分)→御陵(60分)→公園センター
コースタイムと距離:4時間/8.3km

<壮大な景色と一体化できる毛無山>

(山頂から立烏帽子山と三の段)

比婆山は公園センターを起点に、烏帽子山・比婆山・池ノ段など9座が扇状に位置しています。その中で是非訪れて欲しいのが”毛無山”。山頂は広くて360度の眺望、大山や日本海、そして比婆山連山などが望めますよ!

<時の流れを感じるイチイの巨木>

御陵の右側に見事なイチイの巨木。イチイの花言葉は”悲哀”などネガティブな言葉の他に、”高尚”もあるんです。樹齢1000年とも言われるこのイチイは、上品かつおごそかな雰囲気から力強さが表れています。

⑥久住山(1786.5m)|大分県

  • 標高: 1786.5 m
  • 所在地: 大分県竹田市
  • 最高気温(6月-8月): 19.2℃
  • 最低気温(6月-8月): 10.5℃

久住山は”九州の屋根”と呼ばれる九重連山のうちの1座。火山群特有のガレ場やザレ場が多い多彩な登山道に併せて、赤川温泉方面と星生山側とで違った表情を見られます。山頂からの眺めも素晴らしく、九州でも人気の高い山です。気象庁 九重山の活動状況おすすめコース:牧ノ戸峠(25分)→沓掛山(45分)→扇ヶ鼻分岐(15分)→扇ヶ鼻(15分)→扇ヶ鼻分岐(30分)→久住分かれ(40分)→久住山(30分)→久住分かれ(30分)→扇ヶ鼻分岐(40分)→沓掛山(15分)→牧ノ戸峠
※下りは見た道を戻ります
コースタイムと距離:4時間45分/9.9km

<九重連山を一望できるパノラマビュー!>

久住山および九重連山は登山コースが豊富です。久住山山頂からは、中岳・硫黄山・三俣山などが寄り添うような眺め。それぞれの山の個性を身近に見られ、時間が経つのを忘れるほど!

<眺めだけじゃない!扇ヶ鼻の花たち>

(マツムシソウ)

久住山は斜面一面に咲き乱れるミヤマキリシマで有名ですが、梅雨の時期の扇ヶ鼻は薄紫のマツムシソウを始め、濃い紫のママコナやピンク色のシモツケソウなど、たくさんの花を愛でることができます!

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梅雨の山歩きはココに気を付けよう

①雨によるスリップや川の水量などに注意
雨のため登山道の土も緩み、木道や木の根・石が滑りやすくなるので、手元足元には十分注意して下さい。また、川や沢の増水や氾濫が起こりやすくなるため、現地付近の天気予報を確認しましょう。

②行動中の体調管理に留意
樹林帯は湿度が高く蒸し暑くなります。服装のレイヤリング調整を始め、熱中症にならないよう水分や行動食を携行しましょう。

③身の回りの防水対策
天候変化によるレインウェア、足元はゲイターや防水機能付きの登山靴、カメラやスマホなどデジタル機器の防水対策も必要です。

④無理のない登山計画を
突然の雨や雷雨など、変わりやすい山の天気。事前に、本来歩くコース以外にエスケープルートがあるか確認しましょう。コース上に小屋・避難小屋があると安心です。登山道が整備された高原や湖沼群のハイクなら、小雨でも歩けます。

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ストレスをためちゃうくらいなら…思い切って山に出かけてみては

(剣山/次郎岌への稜線)

せっかくの貴重な休日を鬱々と部屋で過ごすのは、とてももったいないですよね。日常生活から離れ山に行くだけで、ストレスや悩みなどをリフレッシュしてくれます。ゆっくりのんびり歩いて山に溶け込んで、好山病の症状を軽くしましょう。

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