口腔(こうくう)機能の低下などを指す「オーラルフレイル」の予防を推進しようと、神奈川県海老名市はこのほど、菓子大手のロッテ、市歯科医師会と協定を締結した。同社によると、自治体とオーラルフレイル予防に関する協定を結ぶのは全国初。
オーラルフレイルは、物をうまくかめない、飲み込めないといった口腔機能の低下を放置することで、低栄養や寝たきりなどの心身の衰え(フレイル)につながってしまうことに警鐘を鳴らす概念という。
市は2019年度、市歯科医師会を通じて55歳以上の市民を対象に、ガムを使って口内をチェックするなどの「オーラルフレイル健診」をスタート。歯や口の健康に関する研究にあたる同社が市の試みに注目し、今回の締結が実現した。
3者は協定に基づき、▽予防のための正しい知識の普及啓発▽ガムをかむことによる心と体の健康づくりの研究の推進-など5項目について連携・協力していく。今後は健康や高齢者に関するイベントなどで、かむことで色が変化し、咀嚼(そしゃく)機能が検査できる同社のガムの配布などにも取り組むという。
先月末に市役所で締結式があり、ロッテの芦谷浩明執行役員は「皆さんの歯と口の健康づくりの推進に取り組む」と意気込み、市歯科医師会の鈴木仙一会長は「超高齢社会の中でタッグを組んでいく」と強調。内野優市長は「高齢者が安心し暮らせる町づくりにつなげる」と語った。