改正建築物省エネ法施行に向け、新基準など具体案検討

 2019年5月17日に「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律の一部を改正する法律」(改正建築物省エネ法)が公布され、注文戸建て住宅および賃貸アパートの住宅トップランナー制度が2019年11月から、戸建て住宅等に関わる工務店等が建築主に対して省エネ性能などを説明することを義務付ける「説明義務制度」が2021年4月から始まる予定だ。
 
 これを受け7月2日に、関連する経済産業省と国土交通省の合同会議が開催され、トップランナー基準の設定や戸建て住宅・小規模建築物の省エネ性能評価方法の簡素化、省エネ基準の緩和対象とする気候風土適応住宅の仕様の例示などの具体案の検討が始まった。

 トップランナー基準の設定については、目標年度を、報告徴収を開始する2020年度から5年後の2024年を目途とする方向で検討。対象となる事業者が供給する住宅の省エネ性能の現状を踏まえ、事業者ベースで適合率が20~50%程度となる水準に設定する。

 対象とする事業者の年間供給戸数に係る要件は、建売戸建て住宅と同様に、それぞれの供給戸数の概ね半分をカバーすることを想定。 具体的には、注文戸建て住宅は年間300戸以上、賃貸アパートは年間1000戸以上を供給する事業者を対象とする方針だ。

 「説明義務制度」の実施に向けては、省エネ性能評価方法の簡素化を図る考え。現行の評価方法に加えて外皮性能や一次エネルギー消費性能をWEBプログラムを使わずに簡便な方法で数値化し、説明できる計算方法を検討する。

 具体的には、部位別の外皮面積の割合を固定値とするとともに、断熱材以外の断面構成要素(内装下地材等の面材、空気層等)の熱抵抗値等について固定値とすることで、断熱材や窓の仕様のみの情報で外皮性能を算出できる評価方法や、居室や非居室等の床面積を固定値とするとともに、空調設備等の性能値等を固定値とすることで、空調設備等の仕様のみの情報で一次エネルギー消費性能を算出できる評価方法を検討する。

 両側真壁の土壁を採用しているなどの伝統的構法住宅については、気候風土適応住宅に係る省エネ基準の緩和措置の対象とし、要件を例示する方向で検討する。

 沖縄県(8地域)における住宅の外皮基準の合理化や地域区分の見直しの検討も行う。

 次回は8月8日に開催予定で、建築物エネルギー消費性能基準等に係る概要案をまとめ、9月2日の会議で省令・告示案を提示。一般からの意見募集を経て、10月24日の会議でとりまとめを行なう予定。

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