元大洋ホエールズのOB2人、母校対決に旧交温め 高校野球神奈川大会

母校の試合を並んで観戦する平塚農高OBの野村収さん(左)と麻布大付高OBの高木由一さん=藤沢八部球場

 11日から県内10球場で本格的に熱戦が始まった高校野球の第101回全国選手権神奈川大会。藤沢八部球場=藤沢市鵠沼海岸=で行われた1回戦の平塚農高-麻布大付高では、両校OBで横浜大洋ホエールズ(現横浜DeNAベイスターズ)の同僚だった野村収さん(72)と高木由一さん(70)がそろってバックネット裏で観戦し、後輩たちの戦いを見守りながら旧交を温めた。

 平塚農高出身の野村さんはプロ野球で初めて全12球団から勝利を挙げた“伝説”の投手。渕野辺(現麻布大付)高OBの高木さんは1998年にベイスターズを日本一に導いた「マシンガン打線」の生みの親として知られる。ともに高校時代は激戦区・神奈川を勝ち抜くことはできなかった。

 2学年下の高木さんは「相手が平農になって、ひょっとしたら会えると思っていたんだ」と数年ぶりの再会を喜び、野村さんも「あいつの打撃は今もまぶたに焼き付いているよ」とうれしそう。小雨降る中、2人は傘も差さずにグラウンドへ視線を送り、昔話に花を咲かせた。

 選手10人の平塚農は来春に平塚商との統合が決まっており、現校名で出場する最後の夏。序盤から大量失点を喫して0-37で敗れたが、野村さんは「選手がけがをせず、放棄試合にならなくてよかった。昔の仲間に球場で会えるOBの楽しみを残してほしい」と硬式野球部の存続を願う。

 高木さんも高校時代は部員不足に悩まされたといい、「守りに就くとベンチに誰もいなくなったんだよ」と半世紀以上前の青春の記憶をこの日の対戦相手に重ね合わせる。「多感な時期だし、忘れられない思い出になる。勝敗は別にしてベストを尽くしてほしい」と、初戦を突破した後輩にエールを送った。

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