投票に行くために休業します!のパタゴニアが仕掛けるイベント『ローカル選挙カフェ』とは?|参院選2019

アウトドアウェアのパタゴニア(patagonia)は、「Vote Our Planet ~私たちの地球に投票しよう~」キャンペーンとして、先日7月21日の参議院議員選挙の投開票日、国内直営店23店舗を一斉休業すると発表し注目を集めました。このキャンペーンでは、7月6日からは『ローカル選挙カフェ』と称し、店舗でのイベントを全国8都市の16直営店で開催しています。選挙ドットコム編集部では、12日にパタゴニア渋谷店で、午前9時から約1時間半開かれたイベントを取材させて頂きました。

『ローカル選挙カフェ』とは、パタゴニアが選挙や政治を軸に、これからの社会のあり方や未来について自由に語り合える場として用意したトークイベントです。

この日は、「選挙に行く?行かない?なぜ」「ここを変えたい、こうしたらいいのに…私が気になる社会問題や環境問題」の2つのテーマを中心に、中学生4人を含む10代から70代までの29人(男性16人、女性13人)が参加。店舗のスタッフも混じった5つのグループに分かれて世代を超えたディスカッションを行いました。

ディスカッションで、同店へ職業体験として来ていた男子中学生(13歳)は「僕が教育を受けられるのも毎回、選挙に父と母が行ってくれてるおかげ。選挙権があったら選挙に行きたい」と5年後に手に入る権利を待ち望む気持ちを素直に語っていました。

また、世田谷区から来られた34歳のワーキングマザーの女性は「世田谷区は待機児童がたくさんいる。自分も子どもを認可でないところに預けている。そういった自分の生活に関わることを考えてくれる身近な方に自分の一票を使いたい」と訴えていました。

グループのまとめを発表した71歳の女性は年金や孤独死の話を若い世代と話し合えたことで「将来を考えている若い方がいっぱいいる、ということが分かった。孫にも教えたい」と、中学2年生から大学3年生までいる3人のお孫さんに伝えることができたことに笑顔を浮かべていました。

今回のイベントの担当者であるパタゴニア日本支社の環境・社会部門シニアディレクター、佐藤潤一さんは「今年はこれまで以上に盛り上がっています。若者が投票に行かないといわれているが、関心を持っている人は多いんです」と語ります。イベント自体には、同社渋谷店の社員やスタッフも、全体の司会からグループの進行役まで行うファシリテーター役を務めるなど、この日も14人が参加しました。

同店は若いスタッフが多いこともあり、『ローカル選挙カフェ』に関わることで、彼らの政治や選挙への意識にもいい影響を与えているようです。「今の年金をもらっている人たちも困っているというのが分かった。75歳とかの年令の方がいて、年金のリアルな額を聞いてびっくりした。僕にとってはいい経験になった」「小さいころ家庭内でも選挙の話はタブーだった。学校教育とかで聞くような場もなかった」など、話し合いに参加することで得たことが、イベント終了後、平常営業のために内装を戻した店内で行われた営業前の朝礼でスタッフの口から次々に発せられていました。

イベントでは、せやろがいおじさんの動画「

」も流され、投票に行く意義を話し合うきっかけに。

この日の定員は実は20名。それより10人近く多くの方が来場したのは「告示日から当社のホームページ上やフェイスブック、店頭などで呼びかけました。日にちが短いのに、多くの人が来てくださったのは、日ごろから選挙に関係ないことでのコミュニケーションが地域の方々と取れているからです」と語ったのは、今イベントの広報担当で同社のコミュニケーション&パブリックリレイションズの小久保啓さん。

渋谷店マネージャーの小川透さんは「製品を買ってくださる方だけがお客さんでないですから。『この地域のギフトになりなさい』と教えられてます」と語ってくださいました。店のスタッフで、町内のごみ拾いなどに参加、店のある場所の町内会・商店会に顔を出すようになり、そのうちに消防訓練や町内のみこしや祭りなど昔から行っている行事に参加させてもらえるようになっていったといいます。今回の中学生4人も、そういったつながりで、職業体験の場所として「パタゴニア渋谷店」が、学校側に地域の方から推してもらったことによる、とのことでした。

このイベントや、キャンペーンサイトでは、選挙関連情報も紹介されているのですが、そこには選挙ドットコムも。単純にうれしい!という事よりも、身の引き締まる思いがいたしました。

今回のイベントは、7月19日まで各地で行われます。ぜひお店へ足を運んで体験してみてください。特設ページ「Vote Our Planet

「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む。」のミッションを掲げるパタゴニア。日頃から、それぞれの店舗のある地域とコミュニケーションをはぐくむ。その一つとして『ローカル選挙カフェ』があり、それはパタゴニアの企業姿勢がそのまま映し出されたものでした。

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