幸福実現党・釈量子党首「すべての人の幸せを実現させるため、国民一人ひとりの声を聴き、次の日本のあり方を示す」」|参院選2019政党インタビュー

選挙ドットコムでは参院選の比例代表に候補を擁立している各政党・政治団体(以下、各党)の代表・幹部に参院選の争点・政策や政治・選挙の意義について聞く取材依頼を行い、取材を受諾した各党の代表・幹部にインタビュー形式で取材しました。今回は幸福実現党・釈量子党首へのインタビューの模様をお届けします。

今回の選挙で選出される参議院議員の任期は、6年先の2025年まで。

日本の次の未来の在り方をどう示すのかを争点に加えたい

–選挙ドットコム編集部(以下、選挙ドットコム)
今回の参院選の争点はどのような点にあると考えているでしょうか。

–釈量子 幸福実現党代表(以下、釈氏)
今回の選挙で当選する参議院議員の任期は、2019年から2025年までの6年間ということになります。
それを考えたときに、次の日本の在り方を示すというのが大きな争点になるというのが我々の考え方です。
個別にいろいろな争点はあるかと思いますけれども、なにか1つだけを取り上げて論じても、未来は見えないのではないかと思うんです。

そういう意味で私たちは、次の未来をどうしますか、というところを踏まえて各種政策を打ち出していこうと考えておりますし、他の党が描く日本の未来像と私たちのものをじっくり比べて、選んでいただきたいと訴えていきたいと思います。

–選挙ドットコム
たしかに選挙で当選した参議院議員が任期を終了する6年先をイメージするのは難しいかもしれませんね。
今はなんとなくとしか想像ができないというか。

–釈氏

そうですよね。夢や希望がないんですよ。もう、今の日本には。
政治の仕事には、まさに3つがあると考えています。
一つは国を豊かにして、国民を一人一人豊かにして反映させること。
二つ目は国民の安心、安全を守ること。
三つ目に国民お一人お一人が希望を持てる、そういった未来の国家ビジョン、青写真を描くこと。

これが本来、どこの国の政治にもあるんですよ。
UAEだと火星に行くとか、エネルギーの分野でこうするとか、未来交通革命を起こすとか。
それぞれのビジョンがあるわけですが、日本の政治にはそういうビジョンが描けないないという言う意味で、我々は日本の今後のあるべき姿をしっかり描き、みなさまに提示していきたいと考えています。

–選挙ドットコム
具体的な幸福実現党の政策についてお話しください。
柱と言える政策はどのようなものになりますか。

–釈氏
柱はですね、順番はそのときそのときで並べ替えはあるんですが、この政策パンプレットに並んでいるものが柱です。
2大政策は、経済政策と外交国防政策ですね。

経済政策については、他の野党さんが争点として消費税増税問題を強調しておられるので、私共でもここを切り口にしています。
消費税の増税凍結という案もありますが、私たちの主張は、増税凍結でも増税中止でもなく、「減税一択」だというところです。
消費税を下げることで景気を良くしていく。ひとりひとりが豊かだと思える国にするためには、消費税を下げるということが絶対に必要だと訴えています。

日本では最近、どこの党も言わなくなりましたが、世界的に見れば減税は、ひとつの経済政策として有効なものとされています。
だって中国共産党政権だって減税するわけですから。あの習近平政権下でね。
減税で成果が上がったのが、まさにアメリカのトランプ減税です。大胆な減税でアメリカは景気が大変よくなりました。

これに対し、日本では不景気対策として減税よりも、給付などで現金をすべての人にばらまく政策を取りがちですよね。たとえば十年前、2万円の地域振興券を子育て世帯や老人、低所得者に配布したのをご記憶の方も多いと思います。自民党は、消費税を10%にあげるにあたり、消費の縮小対策や影響をもろに受ける低所得者層救済などを対象に、また給付金を配るといったことも検討されているようですが、お金をばら撒く手法は、これ、禁じ手だと思っています。

1度現金を懐に手に入れたら「次もくれるのかな」って、必ず思ってしまいますよね。で、もらえる人ともらえない人がいて不公平だとか、額に差があるのはよくないとか不満の声が上がって、またばら撒かなくちゃいけなくなります。
一時の政権の人気取りにはなっても真の意味の経済政策にはなりえません。

それだったら減税すればいいわけです。これはすべての人に行き渡る経済政策で、平等で公平です。消費税のように、経済的に弱者、所得が低くて苦しんでおられる方を傷めつけるようなやり方で、税収が増えて財政が健全化に向かったところで、自慢になんかなりませんよ。

やっぱり財政赤字を解消するっていうんだったら、政治の力で景気を良くして未来の在り方をしっかり国が提示して、人々の安心に基づいた自然な税収増で賄うべきだと考えます。

ある意味日本再生のファーストピンが憲法九条の根本的な改正。

自分の国は自分で守れる国にすると、はっきり主張しているのは我々だけ

–選挙ドットコム
先ほど仰っていたもうひとつの柱は、外交国防問題ですね。
これは他党が争点にしている憲法改正論議にも関係することだと思いますが。

–釈氏
安倍首相は最近「憲法について立ち止まって議論しない政党か、堂々と議論する政党か」で国民に選択してほしいなどと発言していますが、私たちに言わせれば安倍首相だって正々堂々と議論しているようには全く見えないです。
そもそも自民党は加憲ということで、今ある憲法9条に自衛隊を明記しますということですが、トランプ大統領が日米安保は不公平だと不満を表明しても、それに対してちゃんとした答えを言っていないんですよね。

私たちは、憲法改正は結党当時からずっと訴えていることです。
自分の国は自分で守れる国にすると、しっかり腹をくくるべきだと思っています。
憲法についても、加憲でちょっと付け足すのではなく、しっかりと国防について明記しようと。
この決断というのは、戦後の日本が本当に生まれ変わるために最重要な課題だと。
ある意味、日本再生のファーストピンが憲法9条の根本的な改正だと私たちは主張します。

特定の人に利するのではなく、すべての人を幸せにしたいと願うから、

愛しているからこそ、黙っていられない、守りたい。

–選挙ドットコム
幸福実現党の今回のキャッチコピーは「愛しているから、守りたい」ということですが、このコピーに込めた思いについて伺えますか。

–釈氏
本来、政治の基本というのは「愛」だと思うんです。
政治に携わる人間は、すべての人を幸福にしたいという思いが根底にあるべきであって、特定のイデオロギーを信じる方だけを利するものではあってはいけないのです。
この基本に立ち戻り、今回のキャッチコピーとなったわけで、みなさんには「じゃあどういう政権がすべての人を幸福にするのか」ということに注目し、心にとめて投票していただきたいと。

愛しているからこそ、すべての人を幸福にしたいからこそ、今言わなくてはいけないこと・準備しなくてはいけないこと、ある意味現実に即して考え方を変えなきゃいけないこともいっぱい出てくるわけで、今の状況を諦観して受け入れるわけにはいかない。愛しているからこそ、守りたいからこそ黙っていられないということで私たちは活動しています。

たとえば年金制度ができた当時と比較すると、日本の寿命はすでに15歳ほど伸びているんです。
これからの長い老後をどのように生きていくのかというのは日本で暮らす人みんなの大きな課題。
年をとっても健康で生き生きと元気に暮らせるかというテーマに対して、真に優しい政治とはどのようなものかを真剣に考えていただきたいです。
老後への優しい政策とひとくちに言っても「体が弱ってくるから介護のお金をあげますよ」「年金の心配があるならベーシックインカムで支えます」など、いろんな政策があるんだと思いますけれども、
そのなかで政権がどんな政策をチョイスするかによって、人間としての考え方、日本人の在り方がガラッと変わってくるわけですよ。

キャッチコピーにはひとりひとりの生き方を含め、幸福実現党なりの考え方を真剣に訴えていきたいとという意味を込めています。

若い人の「権力を握って好き勝手している」というネガティブな政治家像を、

無私無我で人々のために尽くす私たちの背中を見せて、がらりと変えたい

–選挙ドットコム
さいころ企画の質問にお答えいただけますか。5番が出ましたね。
政治家に対してネガティブな報道も多い中、政治家としてなにが必要だと考えますか。

–釈氏
今の政治家像を変えることですね。変えたいです。
政治家と言えば数の論理で権力を握って、好き勝手にしているだろうというのが、若い人の印象ではないかと思います。
でも政治というのは、真剣にやるならある意味自分を捨てないとできないものだとつくづく思います。
自分のためではなく、欲得のためでもなく、すべての人、国のために命をかけるもんだと。
そういう無死無我なる政治家像というのを若い人に、自分たちの背中で見せていかないといけないと思います。

そのためには行動にうそがないことが大切ですよね。
選挙ではきれいごとを山ほどいうのに、いざ当選すると自分の懐を肥やすことに夢中になったり、保身のためにウソの答弁をしたり、人としてどうかというようなスキャンダルを起こしたりして「言っていることとやってることが違う」っていう政治家の姿を何度も見て、若い人が政治への関心を失ったり、不信感からネガティブなイメージを持ったりして、今の政治離れの現象が起こっている。

例えば「人権」「人権」って言いながら、ホントに人権のために行動しているの?と。
中国の中で起こっている弾圧や、中国の若者によるデモなど、ものすごい人権弾圧のニュースを見て、政治家なら体が動かなきゃウソだと思うんですよ。国とか関係なく。
私は実際、香港のデモにも参加しています。あれは絶対に許せない、許してはいけないと思ったので。香港でちゃっかりチラシ配っちゃったりしてました(笑)。

ウイグルだとかチベットだとかも、宗教への弾圧がすさまじくて、私も国連の会合に出席しましたが、そうするとほかの国の政治家の方から「日本は冷たい」って言われました。こういうのはすごく残念です。

自分を捨てて人のために命懸けで活動している姿を見れは、その政治家がいっていることが本当かウソかなんて見ている人はわかると思うんです。
今の政治家像ががらりと変わるような無私無我の政治家像を、ぜひ実現したいと思っています。

政治にしかできないことが多すぎるから、政治の世界に飛び出した。

個人の力ではどうしようもないことを政治が変えていく

–選挙ドットコム
次は1番ですね。
政治じゃないとできないことというのは何でしょうか。

–釈氏
私たちは母体の宗教活動で個人個人の心の問題を支え続けてきましたが、その活動を通しても多くの方の悩みは世の中の政治の問題とリンクしているんだと痛感させられることばかりです。
個人個人の努力ではとても無理、政治じゃないことが多すぎるから、我々は今こうして政治の世界に出ているわけですよ。

たとえば経済的困窮にしても、個人の努力が基本ではあるものの、国の制度とか失敗した時のセーフティネットがしっかりしいないから再チャレンジすることもままならず、絶望してしまう。
また戦争が起こってしまえば、自分がどうがんばったって巻き込まれて困窮することになってしまいますよね。外交上のトラブルによる戦争なんて、国と国との関係ですから政治じゃないと解決できない問題ですよ。

だからこそ実際に政治家になって活動する有権者の方々も、政治に対する意思表示である1票というのを大事にしてほしいです。今、問題になっている中国などには普通の国民には1票を投じる権利すらない。政治に無関心なままでいたら日本も同じようになってしまう可能性だってあるんですよ、と訴えたいです。

政治が自分の生活や幸福に直結していると意識できる、「自分事」と捉えられるかどうかっていうのは、人間的な成長があってこそのことです。若い人にもぜひこの部分はもっと成長して、真剣に自分の未来、家族の未来、周りの友達の未来、地域の未来、ひいては日本の未来を自分事して捉えて考えてほしいです。そして、その未来像に沿う提案をしてきているのはどの党なのかをじっくり検討して、大切な1票を投じていただきたいと考えます。

–選挙ドットコム
最後に1票の意味、投票の大切さについて伺いたいです。

–釈氏
その一票に命がかかっていると思ったら、居ても立っても居られないですよね。
今まで通りのスタンス、今まで通りの投票行動、今まで通り投票に行かない、その結果が誰かが死んでいるとしたら居ても立っても居られないと思います。
ウイグルで100万人200万人収監されて殺されているという非難がありますよ。
香港でも3人くらい自殺して、自由を守るんだ、と言っている意味が伝わるか伝わらないか
中国で共産党政権の悪口言ったら自分の友達が消えていってしまう訳ですからね。
一票が命に係わると思ったら居ても立っても居られない。その脅威を感じるとじっとしていられないんじゃないかと思います。またそれって日本にも迫っていますし、サイバー空間では戦争も起きていますしね。
そんなに安閑としていられない時代だと思います。

自分の人生だって、結婚して子供産んで、これから幼稚園・保育園の無償化です、といってお金をもらっても、給料が増えない中で2人目3人目を産めますか、という話になりますよね。
それに対する答えがあるところはどこか、政策を一生懸命比較しながら見てもらいたいなと思います。
自分に直結しているかどうか、自分ごとになるかどうか、これって成長だと思うんですよ。
自分ひとりが投票に行くか行かないか、だけじゃなくその影響を他にも及ぼしているんだ、ということを自覚できるかどうかです。自己責任の自覚ですよね。
これって大人になる上で大事だと思います。自分ひとりの人生だけじゃなくて子供がいれば子供の分もありますけれど、子供だけじゃなく会社の従業員のため、住んでいる町の人のため、国の人たちのために何とかしたいと思って行動する。それは自分の人生が2人分にも、100人分にも、1万人分にも変わっていけるんですよ。

だからこそ、政策に人間としての正しさをね。不条理を排し、依怙贔屓やお友達に有利とかじゃなく、とことん全ての人の幸福のためにという風に、真剣に練り上げた政策かどうかをぜひ見ていただきたいな、と思います。

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