近畿の秀峰「近江富士」の魅力
- 標高: 432m
- 所在地: 滋賀県野洲市
- 体力レベル: ★
- 難易度レベル: ★~★★
滋賀県野洲市の湖東平野にそびえる三上山。周りに大きな山がないため、標高の割によく目立ち、琵琶湖を挟んだ湖西地方からでもその姿を眺めることができます。山麓には御上神社や近江富士花緑公園があり、地域の人々の憩いの場としても親しまれてきました。
紫式部や松尾芭蕉も詠んだ歴史ある山
東海道と中山道から望むことができる三上山は、古くから地域のランドマークとしての役割を担ってきました。「近江富士(おうみふじ)」の愛称で知られる通り、一番の魅力は、なんといってもその整った山容です。平野部になだらかな稜線を描いてたたずむ姿は、紫式部や松尾芭蕉など、多くの歌人によって繰り返し詠まれています。登り始める前に、まずは三上山の全体像を遠くから堪能しましょう。
近畿屈指のパワースポット! 国宝指定の「御上神社」
山麓には、三上山そのものを御神体として祀っている「御上神社(みかみじんじゃ)」があります。国宝に指定されている本殿のほか、国の重要文化財となっている拝殿・楼門・摂社若宮神社などが残っており、ともに鎌倉時代後期の建造とされています。こちらは近畿地方屈指のパワースポットとしても有名なので。下山後に時間があればぜひ寄ってみましょう!
三上山の登山レベルや適期は?
いずれのコースもよく整備されていて、どのコースを選んでも1時間以内には山頂へ到達できるので子供連れから上級者まで楽しめます。
年間を通じて登れますが、ベストシーズンは新緑の季節から秋まで。毎年9月下旬から11月上旬にかけては、松茸狩りの権利金として入山料を徴収されます。この期間に登る場合は、御上神社で三上山管理初穂料を支払ってから入山しましょう(近江富士花緑公園コースを往復する場合は通年無料)。厳冬期には積雪や足場が凍ることもあるため、注意が必要です。
【初心者にもおすすめ】近江富士花緑公園コース
まずは、初心者におすすめの近江富士花緑公園コースから。ヒトツバ(シダ)の群落が見どころのひとつです。最大傾斜線に沿って歩く「健脚向」と、蛇行しながら歩く「一般向」があるので、体力に合わせて選択しましょう。
コース詳細
近江富士花緑公園ふるさと里館前の駐車場から出発(開門時間9:00~17:00)。約30台分の駐車スペースがあります。
近江富士花緑公園コース登山口。登山道の随所に案内板が設置されているので、ひとつひとつ確認しながら進みましょう。
途中、妙光寺山、田中山へ続く縦走路との分岐や、三上山の中腹を一周する「中段の道」との分岐もあるので、間違えないようにしましょう。
コースの途中には奇岩も。「天狗岩」という名前がついています。
中腹にある「健脚向」と「一般向」の分岐案内板です。勾配が急で短いのが「健脚向」コース、なだらかで長いのが「一般向」コース。どちらの道を選んでも山頂にたどり着けます。疲れ具合と相談して選択しましょう。
山頂に近づくと鎖場が出てきます。露岩が多くなるので、足元には気をつけて。
山頂付近には、御上神社奥宮や展望岩、磐座などがあります。山頂よりも眺めがよく、飯道山から比叡山にかけての山並みを一望できますよ。
山頂は奥宮の裏手にあります。山頂付近は見通しが悪いので、一息ついたら付近を散策してみるといいでしょう。
【一部岩場あり】表登山道から裏登山道コース
凡例はこちらをクリック:グレーディング表
続いては、急な表登山道を上り、緩やかな裏登山道を下るコース。近江富士花緑公園コースではもの足りないという方におすすめです。巨岩が多いのが特徴。
コース詳細
妙見堂脇の石段を登り、表登山道へ。イノシシ対策のゲートを開けて進みます。閉め忘れのないように。
登り始めてすぐに魚釣岩があります。琵琶湖の水位がこの付近まであった大昔に、神様がこの岩の上から魚を釣っていたという伝説が名前の由来だそうです。
急な石段をしばらく登ると、妙見堂跡に出ます。建物の基壇などが残っています。
さらに登ると、割岩と呼ばれる巨岩が現れます。真っ二つに割れた大岩の間を通ることもできますが、かなり狭いので、荷物が挟まってしまわないように注意しましょう。
山頂のすぐ下には展望所があり、天気がよければ、琵琶湖の向こうの比叡山や奈良の生駒山まで見通すことができるかも。絶好の撮影スポットです。
手すりがついた岩場を登り切れば山頂。記念撮影と休憩を終えたら、御上神社奥宮や磐座などを見学しましょう。
山頂付近にある磐座(いわくら)です。御上神社の祭神である天之御影命(あめのみかげのみこと)が、この岩に降臨したと伝えられています。
下りは裏登山道へ。表登山道よりは、なだらかな道が続きます。ただし、むき出しの岩盤や木の根が多く、濡れているときは滑りやすいので特に注意してください。
下山後に立ち寄りたい周辺情報
登山後のお楽しみに最適な、近隣の立ち寄りスポットをご紹介します。
天然温泉 みずほの湯
地下830mから湧き出す弱アルカリ性単純温泉は、肌触りがやわらかく、癖のない泉質。自動開閉式の巨大天窓を備えたバーデゾーンも人気です。お食事処や休憩室、各種リラクゼーション施設も完備しています。
住所:滋賀県守山市水保町1172-1
電話番号:0800-500-1126
営業時間:10:00~24:00(入館23:00まで)
定休日:年中無休(臨時休業の場合あり)
平日:大人(中学生以上)600円/子ども300円
土日祝:大人650円/子ども350円
道の駅 アグリの郷 栗東
栗東の農作物や加工品を販売する道の駅。レストランでは、地元でとれた食材を使った料理が味わえます。おからを出さずに大豆を丸ごと使用する「まるっぽ豆腐」が人気。
住所:滋賀県栗東市出庭961-1
電話番号:077-554-7621
営業時間:9:00~18:00(11月1日~2月末日まで9:00~17:00)
定休日:年中無休(1月1日~1月4日を除く)
アクセス・駐車場情報
各コースの起点となるのは、近江富士花緑公園駐車場と御上神社駐車場です。トイレはここで済ませましょう。車でも公共交通機関でもアクセスできます。
近江富士花緑公園駐車場(ふるさと館前)
【車でのアクセス】
名神高速道路「栗東IC」から国道8号線経由で約15分
駐車台数:約30台(無料)
【公共交通機関でのアクセス】
JR琵琶湖線「野洲駅」南口から近江鉄道バス西ゲート線「西ゲート経由花緑公園行」乗車、「林業普及センター前」または「花緑公園」下車
御上神社駐車場
【車でのアクセス】
名神高速道路「栗東IC」または「竜王IC」から国道8号線経由で約10分
駐車台数:約80台(無料)
【公共交通機関でのアクセス】
JR琵琶湖線「野洲駅」南口から滋賀バス湖南野洲線「北山台団地行」乗車、「御上神社前」下車
まだまだあります! 三上山の楽しみ方
三上山には、今回紹介したコースのほか、隣の妙光寺山や田中山につながる縦走ルートもあります。登山道には、鎌倉時代に彫られた磨崖仏が残っており、また違った楽しさと出会うことができるはず。早めに下山して、御上神社や近江富士花緑公園などに寄るプランもおすすめです。いろいろな楽しみ方ができる三上山。一度といわず、何度でも足を運んでみてください。
【登山時の注意点】
・登山時にはしっかりと装備を整え、充分なトレーニングをしたうえで入山してください(足首まである登山靴、厚手の靴下、雨具上下、防寒具、ヘッドランプ、帽子、ザック、速乾性の衣類、食料、水など)。
・登山路は複数あり、分岐も多くあるので、地図・コンパスは必携。
・もしものためにも登山届と山岳保険を忘れずに!
・紹介したコースは、登山経験や体力、天候などによって難易度が変わります。あくまでも参考とし、ご自身の体力に合った無理のない計画で登山を楽しんでください。