平和大使に鶴託し続け20年 藤原さん「笑顔を見るとやめられない」

千羽鶴を箱に詰め、高校生平和大使に託す藤原さん(左)=五島市玉之浦町

 国連で核廃絶を訴える高校生平和大使に、平和を願う千羽鶴を毎年託している長崎県五島市玉之浦町の藤原良子さん(81)の活動が、今年で20年目を迎えた。これまでに制作した折り鶴は30万羽余り。15日、自宅を訪れた第22代平和大使4人に1万5千羽を手渡した。
 藤原さんは知人の孫が2000年に平和大使に選ばれたのをきっかけに、「活動を応援したい」と千羽鶴を託し続けている。長崎市で被爆した母や姉の思い、病気のため4歳で亡くなったわが子への鎮魂も胸に抱きながら制作。多い年で2万羽にも上り、折り目を付ける人さし指と親指の指紋は消えかかっている。09年には秋月平和賞を受けた。
 15日は、赤や青、黄など10色の4センチ四方の紙で作った色鮮やかな千羽鶴を、平和大使に贈呈。藤原さんは高齢のため、20年の節目を区切りに活動をやめようとも考えたという。それでも実際に平和大使と会うと「子どもたちの笑顔を見ると、やっぱりやめられない。数は作れないかもしれないけど、体力の続く限り続けてみようかな」と笑顔を見せた。
 平和大使の一人、県立長崎北陽台高2年の田平彩乃さん(16)は「一羽一羽が丁寧に折られていて、とてもきれい。藤原さんの平和を願う気持ちを、私たちが受け継いでいきたい」と語った。千羽鶴は8月下旬、スイス・ジュネーブの国連欧州本部に核廃絶の署名と共に届けられる。

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