じいちゃんにホームランを見せたい-。
鹿町工の4番・小田は、そんな思いを胸に打席に立った。長崎北との2回戦。肺がんで闘病中の祖父、秀夫さん(71)が見守る中、本塁打こそ打てなかったが、2安打でチームのサヨナラ勝ちに貢献した。
物心ついた時から祖父母に育てられた。野球を始めたのは秀夫さんとのキャッチボールがきっかけ。小学3年で地元のクラブに入ると、ほとんどの試合に駆け付けてくれた。打てなかった日は、家で自主練習に付き合ってくれた。
昨年11月、祖父のがんが再発した。2カ月ほど前から病状が悪化。歩行や会話も困難になった。高校最後の夏。祖父は病を押して応援に来てくれた。「打って恩返しする」。気合がみなぎった。
試合は接戦になった。1-3の六回2死一塁から左前打で好機を広げ、次打者の2点三塁打で同点のホームを踏んだ。九回には左翼フェンス直撃の安打を放ち「(本塁打まで)あと少しだった」と悔しさをにじませた。
次の相手は第1シードの長崎商。「じいちゃんはテレビで見てくれるはず。次こそホームランを打ちたい」。帽子のつばに書いた“親孝行”を果たすため、勝利へ導くアーチを狙う。
闘病の祖父にホームランを 鹿町工の4番・小田
- Published
- 2019/07/17 11:00 (JST)
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