世界が注目するプレミアムハッチバックの魅力を再確認する
日本では高級輸入車の代名詞であるメルセデス・ベンツ。同社のエントリーモデルであるAクラスの4代目となる新型が発売されておよそ半年が経過した。去る2019年3月にはクリーンディーゼルエンジンを搭載した「A 200 d」が追加され、さらに注目を集めている。
世界のクルマ業界をリードし続けるメルセデス・ベンツのエントリーモデルである新型Aクラスは、いったいどのような魅力を持っているのか、今一度これまでの取材で得た情報や写真をもとに再確認してみよう。
クルマが本当の相棒になるMBUXとは
新型Aクラスの目玉機能と言えば、MBUX(メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)だ。“Hi Mercedes(ハイ、メルセデス)”と話しかけることでさまざまな機能が操作でき、目的地の天気やちょっとした日常会話までできてしまう。アップル端末のSiri(シリ)やグーグルアシスタントなど、AIを活用した音声認識サービスが一般的になりつつある中、これからクルマもスマホ化していくのかと感じさせられる。
MBUXがこれまでのナビに行ってきた音声操作と大きく違うところは、AIによってユーザーの習慣や癖を学習するということ。それによって、より会話がスムーズになるだけでなく、ユーザーのルーティーンを学習し、オススメとしてレコメンドしてくれる。
クルマはただ目的地まで移動するための道具ではなく、長く付き合っていくことで、本当の相棒になることができる時代がすぐそこまで来ているのかもしれない。
“キビキビ”か? “しっとり”か? 選べる2つのパワーユニット
新型Aクラスではガソリンとディーゼル、2種類のエンジンを選ぶことが可能だ。
2018年10月の販売開始時からラインナップされる、1.4リッターターボのガソリンエンジンは、1.4リッターという排気量を見ると「やや非力なのでは」という不安を抱くかもしれない。しかし、組み合わされる7速DCTの仕上がりが良いことも手伝って、常用速度域でのパワー不足に感じることはなく、元気よくキビキビした印象だ。
また、多くの方が気になっている燃費性能も優秀で、永田 恵一氏が行った燃費テストでは、カタログ値以上の数値をたたき出している。
そして、2019年3月に導入されたディーゼルエンジンは、今どきの最新ディーゼルエンジンらしく、アイドリング時の音は静かで、ディーゼルらしい振動も極めて少ない。もちろん環境性能にも抜かりはなく、2020年に欧州で施行されるEURO6d規制をすでにクリアしている。また、ディーゼルエンジンに組み合わされるメルセデス・ベンツ初の8速DCTが、スムーズな加速と燃費性能に大きく貢献しているのは間違いない。
ガソリンモデルに比べ約13kg車両重量が重くなっているが、ばね上の重量が増えたことで、よりしっとりとした乗り心地になっている点にも注目だ。
シンプルになりつつも性能と使い勝手が向上
4代目となる新型Aクラスのスタイリングは、3代目のスタイリングを踏襲するスポーツハッチバックとなるが、先代よりもよりシャープで洗練された印象を受ける。見た目の印象に大きく影響を及ぼしているのは、やはりツリ目がちなヘッドライトと裾が広がった台形のフロントグリル。CLSから採用されるこのデザインは、メルセデス・ベンツの新しいデザインコンセプトに沿ったものとなっている。
そして、このエクステリアデザインは、ただ見た目だけが進化しているのではなく、燃費に大きく影響するCd値は0.25に抑えられている点も注目だ。
インテリアで目を引くのは、メルセデス・ベンツではすっかりお馴染みとなる、TFTスクリーンを2枚並べたデジタルコクピット。タービンを模したエアコンルーバーやヘッドアップディスプレイなどが、さらに近未来感のあるすっきりとした室内空間を演出している。
さらに、先代よりも29リットル拡大され、370リッター(通常時)となったラゲッジルーム。開口部が広がり使い勝手が向上したテールゲートなど、見た目とともに実用域の性能が大きく進化している辺りは、さすがメルセデス・ベンツと言えるポイントだろう。
[筆者:増田 真吾]