蒸し暑さがまとわりつく179kmの戦い
7月21日(日)、来年の東京五輪に向けたテストイベント、READY STEADY TOKYO 自転車競技ロードが行われた。東京都の武蔵野の森公園をスタートし、道志みち、山中湖、籠坂峠を経由して富士スピードウェイに入り、外周道路を含めて2周、その後、明神峠を上り、再度山中湖を通って籠坂峠を下り、最後に富士スピードウェイを1周してゴールするコースだ。
本番の東京五輪のコースとスタート地点とゴール地点は同じ。富士の周回コースが除外された全179kmで争われた。
リアルスタートが切られると同時にアタック合戦が勃発し、4人の逃げが決まる。しかし、道志みちの長い上りで20人ほどの大きな追走集団に飲み込まれた。
多くの選手が明神峠を勝負どころと目論み、序盤で脚を使うことを嫌ったが、ワールドチームの、しかも最前線で活躍する選手たち、その中でも特に豪華面子を揃えたイタリアチームはそうではなかった。前に前にと積極的に自ら攻撃を仕掛ける展開に他の選手たちは疲弊の一途をたどるばかりだった。
”誰でも勝てる”イタリアチームの総攻撃
そのまま最初の富士スピードウェイ周回を20数名の集団が最初に通過。その中には、増田成幸(宇都宮ブリッツェン)や吉岡直哉(チーム右京)の姿も。一方、後方では30人超の多くの日本人選手たちが取り残された集団が追うものの、協調体制は取れていない様子で速度が上がらない。
富士スピードウェイ2周目に入る頃、イタリアチームを中心に活発なアタック合戦も行われたことで、前方の集団はさらに大きくふるいにかけられた。残ったのはUAEチームエミレーツに所属するディエゴ・ウリッシ(イタリア)やボーラ・ハンスグローエに所属するダヴィデ・フォルモロ(イタリア)らを含む超弩級とも言える有力勢9人。
そしていよいよ最後の勝負どころ、明神峠に到達すると、ウリッシが単独アタック。9人の集団も上りでバラバラになった状態でウリッシはそのままタイム差を広げていった。しかもウリッシに単独で追走をかけたのは、同チームでイタリアチャンピオンジャージを着るフォルモロだった。明神峠を上り終わり、山中湖を通って、籠坂峠を抜けるとウリッシとフォルモロとの差は1分ほど。富士スピードウェイに入り、タイム差を少し縮めたが、ホームストレートの後方にフォルモロが見えるほどのところでウリッシが高く両手を上げてフィニッシュラインを切った。
下馬評通りとも言えるイタリアチームが圧巻の1、2フィニッシュを決め、プレ大会を締めくくった。
オリンピック プレ大会リザルト
距離 179km、平均スピード37.17km/h、96人出走中49人完走
1位 Diego Ulissi(イタリア) 4時間50分53秒
2位 Davide Formolo(イタリア) +17秒
3位 Nans Peters(フランス) +1分52秒
4位 Matthew Holmes(イギリス) +2分29秒
5位 Lois Vliegen(ベルギー) +2分29秒
6位 Fabien Doubey(フランス) +2分29秒
7位 Dimitri Peyskens(ベルギー) +2分29秒
8位 Fausto Masnada(イタリア) +5分55秒
9位 Stuff Cras(ベルギー) +9分11秒
10位 James Shaw(イギリス) +9分11秒
15位 岡 篤志(宇都宮ブリッツェン) +10分6秒
text:滝沢佳奈子
photo:長谷川拓司/滝沢佳奈子