実際に起きた凶悪事件をもとにした『大悲』、被害者遺族の家族視点・37mmバージョン開幕。「どれだけ歩けばこの闇に光は射すのだろう...」

2019年7月19日(金) 、 東京・新宿紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYA にて、 BS-TBS・オデッセー 主催・企画・制作の 『大悲』31mmバージョン の開幕に続き、 20日(土)からは、 壮一帆 主演の 『大悲』37mバージョン が開幕した。

劇団InnocentSphere 主宰・ 西森英行 による書き下ろし作品である 『大悲』 は、 白昼の小学校で起こった、 無差別殺傷事件がテーマ。

実際に起きたこの凶悪事件をもとに、 弁護士と被害者遺族、 二つの視点で描く人間ドラマで、 37mバージョン は、 被害者遺族の家族の物語。 弁護士視点の『大悲』31mmバージョンはこちら。

前日の 31mm編 に続き、 20日(土)に開幕した 37m編 は、 壮一帆 が主演。

白昼、 小学校に侵入し、 8人の児童を次々に殺傷するという凶悪な殺人犯に佐久間護( 玉城裕規 )に、 長女・明日香( 小野田華凜 )の命を奪われ、 それぞれ後悔の念を抱く、 母・清水結衣( 壮一帆 )、 父・謙介( 河相我聞 )、 兄で長男の秀斗( 正木郁 )。

それぞれが、 自分がこうしていればと明日香は命を奪われずに済んだのではないかという思いを抱き、 犯人に殺意を抱くもの…家族に対する信用を失っていくもの…など、 それぞれの葛藤を描いていく。

31mmバージョン とは全く異なる緊張感に包まれる劇場では、 愛する人の命を突然失った人間の心の機微を見事に描いていく。

人は、 事故であれ病であれ身近な人の命の灯火が消えたとき、 どんな形にしろ後悔の念を抱くのは想像できる…その想像が、 ましてや殺人という凶悪な行為によって奪われたとき…そんな状況に自分が立たされたかのような空間に一瞬にして引きずり込まれる緊張感を生み出すキャストの演技は、 劇場を出た後でも、 「あ~あの人たちのお嬢さんが殺害されたのか…」と現実の事件が題材になっているだけに、 心から離れない絶対に見ておくべき作品に仕上がっている。

そして、 副題の 「37m」 の意味とは…それは、 涙無くしては語れない数字となっている。 その答えは、 ぜひ劇場で確認していただきたい。

こちらの、 37m編 にも、 31mm編 で主演、 弁護士役の 西村まさ彦 、 凶悪殺人犯役の 玉城裕規 も出演し、 裁判所のシーンでは、 壮一帆 らが演じる家族と対峙するシーンも盛り込まれている。

どちらのバージョンから見ても内容がわかる構成になっている上に、 片方を見ると、 片方を確認してみたくなるストーリーにもなっている。

公演は、 7月29日(月)まで上演されているので、 ぜひ、 会場に足を運んでみてほしい。 各公演とも、 当日券が若干数ではあるが用意されている。

この作品を上演する意味は何か、 ということを出演が決まった時からずっと考えていました。
台詞を覚えながら役を染みこませつつ、 私は今、 この事件を“体験”しています。
粛々と感じ、 それを表現して行く…。
稽古場からずっと心が震えています。

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