“よりまし”で自民選択 野党共闘「主張ぼやけた」 低投票率「ネット活用も」

集計作業が進む開票所。参院選は盛り上がりを欠き、長崎選挙区の投票率は過去最低を記録した=21日午後9時50分、長崎市民会館

 21日に投開票が行われた参院選長崎選挙区は自民現職の古賀友一郎氏(51)が国民民主新人の白川鮎美氏(39)、「NHKから国民を守る党」新人の神谷幸太郎氏(43)を制し、再選を果たした。各地で取材した記者が各陣営の戦いぶりを振り返った。

 -古賀氏の勝因は。
 A やはり自民党、政権与党という側面が大きい。安定政権を望んだ有権者が多かったのだと思う。
 B 「ほかの候補より、古賀候補がまだまし」「野党より、自民党がまだまし」という、いわゆる“よりまし”選択の側面もあったのでは。野党の政党支持率の低さが、それを物語っている。
 C 候補者本位で選んだ人はどれぐらいいたのだろう。古賀氏の知名度は現職の割には低い。「地元に全然入っていない」と多くの自民関係者から聞いた。
 D 相手候補の経験のなさにも助けられたね。自民支援者も「政治経験がある相手だったら完全にアウトだった」と胸をなで下ろしていたよ。

 -自民県議団の分裂は選挙戦に影響しただろうか。
 B 選挙は別もの。自民党のためにやると言っていたよ。だが、古賀氏に距離を置く会派の県議はやる気がない印象はあったね。
 A 一般有権者は分裂問題を知らないよ。投票行動に影響はなかったのでは。
 D 古賀氏は前回から約10万票減らした。雨の影響で投票率が下がったこともあるけど、県議団の分裂は影響したんじゃないかな。

 -白川氏の敗因は。
 B 知名度不足と野党の存在感のなさ。野党は批判だけでなく、代案を示さなければ支持されないね。
 A でも古賀氏に約3万4千票差まで迫った。政治経験ゼロからのスタートだったことを考えると善戦したと思うよ。

 -前回参院選に続く野党共闘は機能しただろうか。
 D 「前回より進化した」という評価がほとんどだった。共産議員は「比例は共産、選挙区は白川をぜひ」とお願いの電話をかけたと言ってたよ。
 C ただ、共闘した政党は個々の政策を巡るスタンスが異なる。今回、安倍1強体制の打破を掲げ、スクラムを組んだけれど政策の違いに配慮して白川氏の発言が制約された部分があったのは否めない。その点では主張がぼやけてしまったね。
 D 野党同士で「あっちの党は動いていない」という愚痴も聞いた。「国民民主の看板では戦えない」との声もあった。県内では立憲民主の基盤もまだ弱いし、社民は風前のともしび。一体どこの野党なら戦えるだろう。

 -そもそも候補者の訴えは有権者に響いたのかな。
 A 古賀、白川両氏については、主張が一般論で論戦が深まらなかった。当選後、何ができるのかよく分からなかった。

 -長崎選挙区の投票率は過去最低で前回を10.43ポイント下回る45.46%だった。
 B 50%を割っているようでは、有権者の負託を受けたとは言いにくくなるね。
 C 古賀氏の得票は有権者全体で見ると約23%。
 A 有権者にも責任がある。政治は生活に直結してるんだから無関心ではいけないね。

 -投票率を上げる妙案はないのかな。
 E 平戸は今回も期日前の移動投票車がへき地で活躍していた。高齢化に伴う免許返納が進む中、導入は効果的だと思うよ。
 C 若者の投票率を上げるためにも、そろそろ自宅で簡単にできるネット投票など抜本的な改革が必要ではないかな。

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