八島湿原|都心から車で3時間。霧ヶ峰高原の「天空の箱庭」を散策! 長野県の真ん中あたりにある霧ヶ峰。その霧ヶ峰に「天空の箱庭」とも称される八島ヶ原湿原があります。その八島ヶ原湿原を中心とした八島湿原は、尾瀬ヶ原のように有名ではありませんが、湿原としての価値は非常に高く、貴重な植物の宝庫です。散策にちょうどよく、しかも、すぐ横に観光道路「信州ビーナスライン」が通りアクセス抜群!すぐにでも行ってみたくなるそんな八島湿原をご紹介!

涼やかな高原にある八島湿原は植物の宝庫だった!

  • 標高: 1,640m
  • 所在地: 長野県諏訪郡下諏訪町
  • 体力レベル: ★~★★
  • 難易度レベル: ★

長野県のほぼ中央に位置する山「霧ヶ峰」(標高1,925m)。その霧ヶ峰に3つある湿原(※)のひとつが「八島ヶ原湿原(やしまがはらしつげん)」。八島ヶ原湿原を中心とした一帯を「八島湿原」と呼びます。
しかし、霧ヶ峰はその涼しいイメージからエアコンの名前になっているぐらい超有名ですが、「八島湿原」は意外と知られていないのでは?
そんな、ちょっとマイナーな八島湿原はいろいろと魅力満載なのです。

__※霧ヶ峰の3つの湿原
__八島ヶ原湿原、車山湿原、踊場湿原。その中でも八島ヶ原湿原が一番広い。

八島ヶ原湿原はなんと12,000歳!今も成長中

八島ヶ原湿原は、湿原の中ではお年寄りの部類に入る12,000歳。なのに、泥炭の堆積物が1年で1mm成長しているそうです。日本の高層湿原の南限で、国の天然記念物に指定されているほど貴重な湿原です。

たくさんの植物と湿原が織りなす美しさ

12,000年かけて湿原を形作ってきた泥炭層(※)は尾瀬より深い8.05m。その特異な湿地がたくさんの植物を育んでいます。貴重なコケをはじめとし、コバイケイソウ、ニッコウキスゲなどの亜高山植物の宝庫。「天空の箱庭」とも称される美しい風景は、新海誠監督の映画『君の名は。』でも描写されたと言われています。

※泥炭層
低温の湿地で、植物の遺骸が分解されずに堆積した層。堆積物が地面の高さ以上になると八島ヶ原湿原や尾瀬のように「高層湿原」と呼ばれます。高層湿原は栄養が少ないためミズゴケが多く、背の高い植物が少ないため、貴重な高山植物が育ちやすくなります。

1周の散策が1時間30分。周りの山と周遊も楽しめる

1周は約1時間30分。散策にはちょうど良い距離です。ここを起点に周りの山へも登山可能で、男女倉山(おめくらやま 標高1,776m)や、蝶々深山(ちょうちょうみやま 標高1,836m)、そして霧ヶ峰の最高峰、車山(くるまやま 標高1,924m)などを周遊でき、霧ヶ峰を満喫することができます。

マイカー乗り入れ可能。抜群のアクセスしやすさ

八島湿原は、観光道路「信州ビーナスライン」沿い。マイカーでのアクセスが非常に便利で、湿原のすぐそばに駐車場があります。また、その駐車場にバス停があるので公共交通機関でもアクセスが簡単です。

八島湿原はいつ頃が一番いいの?

八島湿原は1年中楽しめます。その中でも、一番の季節は高山植物が咲き乱れる春から夏。草紅葉とススキの秋も人気です。冬のスノーシュートレッキングもオススメ。駐車場は冬も乗り入れ可能です。

天気も必ずチェック(霧ヶ峰)

お花がいっぱい!冬は雪の散策路|八島湿原1周コース

凡例はこちらをクリック:グレーディング表
八島湿原駐車場・バス停(30分)→奥霧小屋(休業中)(25分)→諏訪神社(45分)→八島湿原駐車場・バス停

八島ヶ原湿原の自然を楽しむ散策コース。湿原の周囲を歩くだけなのでほとんど起伏がなく、気軽に歩けます。春や夏はたくさんの草花、秋はススキと草紅葉、冬はスノーシュートレッキングを楽しむこともできます。

コース詳細

八島湿原駐車場を出発後、すぐに湿原の自然が広がります。春は、チゴユリやショウジョウバカマなどの小さな花々が。花の季節はスタートからお花が続々、カメラから手を離せません。

夏はニッコウキスゲやハクサンフウロなど。特に、ニッコウキスゲが池をバックに咲き乱れる姿はまさに「天空の箱庭」!この絶景を見るために毎年多くのハイカーが訪れます。

秋は草紅葉とススキたなびく風景。春や夏のような華やかさはありませんが、冬の前のちょっと静かで落ち着いた湿原には心が癒されます。

湿原の周囲は木道などの遊歩道でとても歩きやすいですが、雨上がりなどはスリップに注意。花を撮影しながらゆっくり歩いても2時間、出発点に戻ります。
木道など指定された場所以外には立ち入らないようにしましょう。また、木道を歩くときは慎重に。万が一木道を踏み外して湿原を傷つけると、大きなダメージになります。

冬は雪に埋もれた遊歩道をスノーシュートレッキング!平坦なのでスノーシュー入門者におすすめです。雪で埋もれてわかりにくいですが、木道の間には落ちないように注意。

冬、池も湿原も真っ白な雪に覆われて静まり返ります。雪原に残るウサギやキツネの足跡など、アニマルトラッキングを見つけてみましょう。雪に埋もれていても湿原に変わりません。絶対に立ち入り禁止です。

高原の風に吹かれながら歩く|車山周遊コース

凡例はこちらをクリック:グレーディング表
八島湿原駐車場・バス停(30分)→奥霧小屋(休業中)(45分)→物見石(25分)→蝶々深山(25分)→車山乗越(20分)→車山(30分)→車山肩(20分)→沢渡(30分)→諏訪神社(45分)→八島湿原駐車場・バス停

八島湿原を楽しんだ後、霧ヶ峰最高峰「車岳(標高1,925 m)」へ登頂し、再び戻ってくる周遊コースです。八島湿原散策だけじゃ物足らない人にはおすすめ。ただし、霧ヶ峰はその名のごとく霧が多く、道迷いしやすいため注意。登山になるのでそれなりの装備を用意しましょう。

コース詳細

八島湿原駐車場を出発後、しばらく八島ヶ原湿原北側遊歩道を歩き、湿原を通過します。鹿侵入防止柵があるので必ず閉めて、鹿の食害を防ぎます

八島ヶ原湿原を後にして45分。特徴的な大きな岩の物見岩へ到着。湿原からここまで歩く人も多く、八島ヶ原湿原を一望できます。

物見岩より約30分。蝶々深山(ちょうちょうみやま)へ到着。振り返ると、登ってきた物見岩や八島ヶ原湿原が、先を見ると今から向かう車山のレーダードームが遠くに見えます。あともう少しがんばりましょう。

木道や階段などを登り上がると、蝶々深山から約45分、スタートから約2時間25分、レーダードームが印象的な車山山頂です。お疲れさまでした!

車山山頂からは360度の大パノラマ。眼下に霧ヶ峰高原や美ヶ原高原、その向こうには、八ヶ岳など日本アルプスの山々、天候が良ければはるか遠くに富士山が見える絶景です。

山頂からは、車山肩方向へ下山します。

車山から約50分、車山肩。なだらかな高原の道にはたくさんの山野草。夏、ニッコウキスゲの黄色い花が高原の風にたなびく姿は、いかにも高原らしく、ずっと見ていたい風景です。

車山肩から約50分程度で、八島ヶ原湿原へ降りてきます。湿原の風景を楽しみながら45分ほどでスタート地点、八島湿原駐車場へ到着です。

八島湿原へ行くにはどうすれば?登山口アクセス情報

八島湿原駐車場

今回ご紹介した散策コースと車山周遊コースの起点です。バス停もここにあります。

【マイカーの場合】
中央道「諏訪IC」より約40分。信州ビーナスライン沿いです。駐車台数100台。無料ですが週末は混雑するようです。

【公共交通機関利用の場合】
JR中央本線「茅野駅」より、アルピコバス乗車77分で、八島湿原バス停へ。なお、運転期間は事前に確認するようにしましょう。

所在地:長野県諏訪郡下諏訪町木の下
料金:無料
トイレあり

アルピコグループ

八島湿原をもっと楽しむ!周辺の施設情報

八島湿原をもっと知りたいなら|八島湿原ビジターセンター あざみ館

八島湿原駐車場に隣接している「八島湿原ビジターセンターあざみ館」は、八島ヶ原湿原の生い立ちや、自然の解説をわかりやすく展示しています。散策する前後に訪れればより深く八島湿原について知ることができます。WEBサイトでは、湿原の最新情報を発信しているので。事前にお目当ての花の開花情報などをチェックすることができます。

住所:長野県諏訪郡下諏訪町八島湿原10618
電話:0266-52-7000
開館期間:4月下旬~11月中旬(期間中無休)
開館時間:9:30~16:30
料金:無料

八島湿原ビジターセンター あざみ館

歩き疲れたらカフェタイム|ヒュッテみさやま

八島湿原の散策コース沿いに、ひっそりとたたずむ「ヒュッテみさやま」。こだわりのタンザニア豆と湧き水で淹れたコーヒーと自家製パウンドケーキが人気です。歩き疲れたら、ちょっとカフェタイムでもいかが?

住所:長野県諏訪郡下諏訪町八島湿原10618
電話:0266-75-2370
営業期間:毎年4月末頃から10月末まで営業
営業時間(喫茶):10:00~15:00
定休日:木曜日

ヒュッテみさやま

たった1時間半で巡れる、天空の箱庭「八島湿原」

八島湿原は、尾瀬ヶ原や弥陀ヶ原、釧路湿原のように有名な湿原ではありませんが、太古から育まれた湿原だからこそ存在する貴重な植物や生物の宝庫です。湿原の植物と池や花な自然が織りなす風景は天空の箱庭とも。ドライブにもおすすめの霧ヶ峰、ぜひ、八島湿原に訪れて高原の風に吹かれてみませんか?

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